卵のつがい



第四章





「その節はありがとうございました。

ミラさんから頂いた薬草とても助かりました」

(同じ女のあたしでも見惚れちゃいそう)


 ミラは、またよろしくお願いします、と言って

にっこりと微笑むグランに、感嘆のため息を吐く。


(あれ? でもなんであたしの名前知ってるのかしら?)


 首をかしげ考え込んでいると、

グランが思い出したかのように話を戻してきた。


「ああ、そうそうイース先輩でしたよね。

彼ならたぶん門を出て左へ曲がった先にある

丘の上にいると思いますよ?」


 イースの居場所がわかると同時に、

先程脳裏を占めていた疑問が一瞬にして消え去った。

学園に着いたときは途方に暮れてしまったが、

なんて運がいいのだろう。

しかし、感激している間にグランたちはそれじゃ、と

言いながら離れて行ってしまった。

ミラは、慌てて去って行くグランたちへ届くように

大きな声をあげる。


「あ、ありがとう!」


 こちらの声に立ち止まり、手をあげ応えてくるグランたちへ

ミラは感謝の意を込めながら手を振り続けた。










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