卵のつがい



第四章





「こんなに早くイースの居場所がわかるなんてラッキーだったわね」


 グランたちの姿が見えなくなり、

ミラはふぅーっと深く息を吐き出した。

決心が鈍らないうちにイースの元へ行こう。

ミラは気合を入れるようにエポックへ声をかける。


「それじゃ早速行ってくるわね。ってエポック聞いてる?」


 しかし、幼馴染からは激励の言葉どころか、

返答すら聞こえてこない。

ミラは訝しく思い、隣に立っているエポックを窺い見た。


「ちょっと、エポックどうしたの? 具合悪くなった?」


 さっきまで普通だったのに急にどうしたのだろうか。

ミラは顔を真っ赤に染め、

グランたちの去って行った方角を見つめ続けるエポックの体を

揺らした。


「俺の天使……」

「はぁ? え、ちょっとエポックどこ行くのよ」

「ミラ、これは運命だ! だからお前も頑張れ! 俺も頑張る」


 言うや否やエポックは駆け出す。

止めようと声をあげるが、よくわからない応援をされ

ミラは首をかしげた。


「変なものでも食べたのかしら?

はっ! そんなことよりもイースよ」


 今はおかしくなった幼馴染よりも想い人だ。

ミラは決意を新たに来た道を戻った。










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