卵のつがい
第四章
6
「こんなに早くイースの居場所がわかるなんてラッキーだったわね」
グランたちの姿が見えなくなり、
ミラはふぅーっと深く息を吐き出した。
決心が鈍らないうちにイースの元へ行こう。
ミラは気合を入れるようにエポックへ声をかける。
「それじゃ早速行ってくるわね。ってエポック聞いてる?」
しかし、幼馴染からは激励の言葉どころか、
返答すら聞こえてこない。
ミラは訝しく思い、隣に立っているエポックを窺い見た。
「ちょっと、エポックどうしたの? 具合悪くなった?」
さっきまで普通だったのに急にどうしたのだろうか。
ミラは顔を真っ赤に染め、
グランたちの去って行った方角を見つめ続けるエポックの体を
揺らした。
「俺の天使……」
「はぁ? え、ちょっとエポックどこ行くのよ」
「ミラ、これは運命だ! だからお前も頑張れ! 俺も頑張る」
言うや否やエポックは駆け出す。
止めようと声をあげるが、よくわからない応援をされ
ミラは首をかしげた。
「変なものでも食べたのかしら?
はっ! そんなことよりもイースよ」
今はおかしくなった幼馴染よりも想い人だ。
ミラは決意を新たに来た道を戻った。
一つ前を読む 小説の部屋へ戻る 次を読む
|