卵のつがい
第四章
7
※※※
「丘ってここのことよねー?」
少女に言われたとおりに歩くこと数分。
すぐに見つけることはできたが、肝心のイースの姿は見当たらない。
行き違いになってしまったのだろうか。
不安になりながら、キョロキョロ見渡しているうちに
頂上へ着いてしまった。
そんなに急こう配を登ったわけでもないのに、
眼下にこんもりとした緑が生い茂っている。
「わぁー。すごい! あれがアラバの森かしら?」
眺めの良さに感嘆の声をあげているときだった。
背後から草を踏む音とともに聞き覚えのある
柔らかな声が聞こえてくる。
「ミラ?」
「……イース」
振り返ると、
探し求めていた人が驚いた様子でこちらを見ていた。
「なんで……」
こちらを認識したとたんイースは眉をひそめる。
ミラは怖気づきそうになる気持ちを、
ギュッと手を握りしめることで気づかないふりをした。
「あ、あのあたし謝りたくて」
声を震わしながらもなんとか言葉を紡ぐ。
しかし、素っ気ない態度のイースによって
最後まで口にする前に遮られてしまった。
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