卵のつがい
第四章
9
「あ、ごめ、ごめんなさい。勉強の邪魔するつもりなかったの。
ただイースに会いたくて」
「会いたくてだって?
会って、それで僕にエポックさんとの仲を祝福してくれとでも
言うのかい?」
悲痛そうなイースの訴えにミラは思考が停止する。
「え? エポック? なんで?」
なぜ関係のない幼馴染の名前がここで出てくるのだろうか。
訳がわからずミラは首をかしげる。
だが、それがいけなかったのかイースが怒りをあらわに見据えてきた。
「なんでって、当たり前だろう君の彼氏なんだから!」
イースの言葉に目を丸くする。
「はぁ?」
素っ頓狂な声をあげると、
今度はイースのほうが戸惑ったようにまばたきを繰り返す。
そして確認するようにもう一度同じ言葉を口にした。
「え? だから、エポックさんが君の彼氏なんだろう?」
眉間にしわを寄せ見つめてくるイースに
ミラは視界がぶれるほど激しく首を横に振った。
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