卵のつがい



第四章

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「ないないないないないない! 絶対ない! あり得ない!」

「で、でも僕がモモンガを飼っていたことを知ってじゃないか」


 嘘はやめてくれと言わんばかりに、イースが深くため息を吐く。


 やっとわかった。

イースと再会してから噛み合っていなかった会話が今、

噛み合ったような気がする。

イースは、エポックを紹介したときから勘違いしていたのだ。


「あれはフィット君が言ったのよ」

「フィット君? 薬草店の?」


 ミラは、信じようとしないイースに

旅の途中で立ち寄った薬草店のことを説明

し始めた。



「じゃぁ本当にエポックさんはミラの彼氏じゃないの?」


 ようやく納得したイースにミラは鼻息を荒く頷く。


「うん! あいつが彼氏なんてぜぇぇぇったいない!

あたしが好きなのはイースだもの!」

「え?」


 勢いに任せて告白してしまった。

イースの瞳がこれ以上ないくらいに見開く。

もうこうなってしまえばやけだ。

ミラは顔を熱くさせたままイースを見つめた。










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