卵のつがい



第四章

11



「……イースはあたしのことを手紙だけの付き合いに

したいのかもしれないけど、あたしイースのことが好きなの!」

「僕がミラを嫌いになるなんてないよ。

僕だってミラのこと好きなんだから」


 イースの言葉に今度はこちらが目を瞠る。

彼の顔つきはさっきまでの険しい表情ではなくなり、

ずいぶんと優しいものへと変わっていた。

それでもまだ不安に思い、ミラは想い人を窺い見る。


「……本当に?」

「手紙でも書いただろう?

医師になったミラの村に行くって。

あのときは濁しちゃったけど

あれはお嫁さんにきて欲しいって意味もあったんだ」

「お嫁さん!」


 飛躍するイースの告白にミラは声を裏返す。

こちらの慌てようにイースも自覚があったのか、

恥ずかしそうに訂正してきた。


「いや、もちろんすぐにってわけじゃないよ。

開業してもすぐには起動に乗らないだろうしさ……」


 エポックたちの言うとおりだ。

イースに嫌われてなかった。

むしろこんな告白を言ってもらえるほどの

好意を抱いて貰っていたなんて。


「そのゆくゆくはってことなんだけど……嫌かな?」


 感動で胸がつまり返事どころではなかった。

しかしそれがイースには拒否に思えたのかもしれない。

眉をさげ覗き込んできた。

ミラはぼやける視界を払うように首を横に振る。


「嬉しい」


 頬をつたう涙をイースに見せないように彼の胸へ飛び込んだ。










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