卵のつがい
第一章
1−7
「わ、わかったわよ。わかったから手、離して!」
変な態勢からのままミラは手をばたつかせ抵抗を試みる。すると、
エポックがははは、と笑いながら手を離した。
「そんだけの元気があれば問題ないな」
尚も笑い続ける彼に腹立たしさ感じ、睨みつけようとする。だが、
道端に座り込んだのはこちらだ。ミラは文句を言うと開きかけた口
を閉じた。収まり切らない怒りを、手をギュッと握ることで霧散さ
せようと思ったがあまり効果はないようだ。
(くー、くやしい! エポックのくせに正論なんて言っちゃってさー。
昔はびくびくしてて何も言えなかったくせにー!)
心の中で言えなかった文句を叫んでいると、エポックがやれやれ
といったふうに肩を竦め苦笑する。
「アドノーの町についたら行きたい場所があるって言ってたのはお
前だろう?」
首を傾げるエポックにミラは先ほどまで感じていた怒りを忘れ、
ポンッと手を打った。
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