まどろみの向こう側ID


首を傾げるエマの目の前で、

『ジョーイ』はおもむろに両足を前へと突きだした。

ぶらぶらと上下させていると、

エマが困惑したように眉根を寄せるのが見える。

(どうしたもんかな……)

 少女の姿をした『ジョーイ』もまた、

彼女に負けず劣らず深い困惑の念を抱いているのだが。

何も知らないエマがそれを察することは皆無に等しいだろう。

しきりに首を傾げつつも、エマが会話を続ける。

「魔法使いと少年は互いの持ち物を交換するの。

大きな銀杏の枯れ木の下で、2人はまた会う約束をして別れるのよ。

そして少年は魔法使いのくれた赤いリボンのお陰で命を助けられ、

その後、約束を守ろうと待っていた銀杏の木の下で、

ある女性と出会うの。

それは自分を助けてくれた魔法使いの妹で、

2人は結婚していつまでも幸せに暮した、ってお話なんだけど……」

 エマの言葉に『ジョーイ』は目を見張った。











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