まどろみの向こう側IF


「少し大きくなって来ると、

それが実はある程度事実だってことに気付いてきたのよね。

『魔法使い』は誰だか知らないけど一族にとっては大恩人ってことも、

同時に、この街に独り残ってその『魔法使い』を待っている、

化石のような老人がいるってこともね。

ちなみにその老人は私の『曾』が4つか5つくらい

付く伯父さんだってことも」

 エマが可笑しげにくすりと肩を揺らす。

「実際には相当偏屈な人だったみたいね。

身内がいくら年老いた彼を呼び寄せようとしても

二言目には『約束があるから』だったそうよ。

本人は本当に信じてたかどうかはわからないけど、

身内は誰も信じてはいなかったみたい。

あの昔話もよくよく聴いてみると、

結局ほとんど愚痴なんだかわかんない感じで終わるのよね。

……でも、だからかしら。

私はそれで余計に興味を持っちゃったみたい」

「興味?」

 眉間いっぱいに皺を寄せ、警戒気味に『ジョーイ』は尋ねる。

問いに対し小さく頷いたエマが、

どこか遠い目をしたまま微苦笑を浮かべた。











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