まどろみの向こう側II


「ごめんなさいね。

小さなあなたにはまだ難し過ぎるわよね。

でも、どうしてかしら、どうしても聴いて欲しくなったの。

……もしかしたら、あなたが持ってるその赤いリボンのせいかもね」

 その一言に反応し、『ジョーイ』は視線を上向けた。


(赤いリボン……)


 じっと見つめる瞳の先で、エマがウィンクを送ってくる。

「おとぎ話の2人が出会ったのもこの銀杏の木の下、

交換したのは赤いリボン。

私たちが出会ったのもこの銀杏の木の下、

あなたがくれようとしたのもやっぱり赤いリボン。

なんだか不思議よね」

 ね、と彼女は小首を傾げ、悪戯っぽい笑みを口の端に乗せる。

「その赤いリボン、彼にもらったのかしら?」

対する『少女』反応は、今にも消え入るようなほどに弱々しく、

頼りなげなものだった。

「罰だから……」

「え?」

「これは、罪の証だから……」

「なんのこと?」

 訳がわからない様子で困惑気味に覗(うかが)ってくるエマへ、

『ジョーイ』は挑むように強く、鋭い瞳を向けた。











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