BAHAを知ろう!
BAHA(Bone Anchored Hearing Aid)という骨導補聴器を知っていますか?
このページは、BAHAという補聴器のことをたくさんの人に知って欲しいという、昨年、BAHAをつけたkeroさんの要望により作成しました。
BAHAについてはこちらのHPを参照にしてください。 →「BAHA Network」
keroさんについてはこちらを参照にしてください。 →小耳症交友録【その5】、小耳症本人に33の質問
まずは私があらかじめ用意した質問に答えてもらい、それについて聞きながら、いろいろ補足をしています。
Q01 右耳小耳症で外耳閉鎖ということですが、
BAHAをつける前の耳の聞こえはどんな感じでしたか?
A01 まず、方向感覚がない。自転車が後ろから来てても分からなかったり、救急車もそう。
どこから音がしているのかが分からない。
電話中に話しかけられても聞こえない。
音楽のモノラルとステレオの違いが分からない(これ、私にとって1番重要!)。
必ず人の右側にいないと落ち着かない(話しを聞き逃してしまったりするので)。
Q02 BAHAをいつ、どのように知りましたか?
A02 HP『ひつじの森』のリンクでYUKIKOさんのHP(前出の「BAHA Network」)を見て、
「私、これつけたい!」と思った。
右側にこれをつけたら“ステレオの世界”を知ることができるじゃん! って。
たしか2005年だった。
Q03 今まで補聴器は使っていませんでしたよね。
BAHAを使おうと思った理由は?
A03 もちろん“ステレオの世界”が欲しかったから!
くるみ(以下、く):私も同じ片耳難聴(右耳小耳症で内耳閉鎖)で、聞こえに関してはkeroさんと同じ状態ですが、
いまのところ、補聴器を使おうとは全く考えてはいません。
それほどまでに“ステレオの世界”が欲しかったんですか。
keroさん(以下、k):私の家は常に音楽が流れている環境だった。
だから、小さな頃から常に思い続けていたことだった。
小さい頃の手術も、聞こえるようにする手術だと思ってたのね。だからすごくがっかりした。
普通の人が聞こえているのに、自分が聴こえないのはすごく不満!
く:育った環境というのが大きく影響しているんですね。
Q04 BAHAを実際に使用している方から話を聞いたり、ネットなどで情報収集をしたりしましたか?
A04 YUKIOさんからいっぱい話を聞きました。
※YUKIKOさんは前出のHP「BAHA Network」の管理人さんです。
くるみもYUKIKOさんからBAHAのことを聞きました。
Q05 私が初めてBAHAのことを知った時(2004年3月20日のオフ会 →小耳症交友録【その2】参照)は、
保険が適用されていないうえに、日本で取り扱われていないので入手が大変だと聞きました。
今はどうですか?
A05 それは今も変わらない。厚生労働省から認可がおりてないからね。
私は『治験』でBAHAをつけたから自分で入手したわけではありません。
Q06 手術は頭蓋骨に穴をあけるわけですが、
そのことに関して恐怖というものはありませんでしたか?
A06 ぜんぜん! たいした手術じゃないじゃんって思ってた。
く:私は頭蓋骨に小さくたって穴をあけるので、想像するだけですごく怖いです。
たいした手術ですよ、これは。
k:小さい頃にした手術の辛さに比べたら、なんてことない。
あの時の手術はほんとうに辛かった。
く:ただたんに私が痛がりで怖がりなだけですかね(^o^;
Q07 手術までの経緯を出来るだけ詳しく教えてください。
A07 YUKIKOさんから『治験』の情報をもらってT病院に2007年5月頃に初受診。
T病院では7月から治験を始めるということで、7月から本番がスタート。
まず聴力検査と頭部CTで、治験対象になるかどうかを調べる。
聴力が75dbの高度難聴以上の数値が出ること、BAHAをつけたい場所の頭蓋骨の厚みが7mm以上あるか、
CTで調べる。私はこの第一段階をクリアした。
※だから、人によっては希望の場所につけられない場合がある。
2007年5月 初受診
7月初旬 外来検査
7月24日 入院、散髪
7月26日 手術(3時間)
8月 2日 抜糸
8月 3日 退院
8月24日 診察
9月22日 診察
10月26日 BAHA装着
※インプラントを埋めてから装着まで3ヵ月が必要
く:頭蓋骨の厚みが7mm以下の人はBAHAをつけられないということ?
k:そう。7mm以上の場所が頭の後ろの方でそこにつけた人もいるらしい。
あと、骨伝導の聴力検査をして、内耳の機能が温存されていると分かった人はBAHAがつけられる。
内耳が機能していないときはつけられない。小耳症の人は外耳道閉鎖していて内耳は大丈夫という人が多いみたい。
他にも方向感覚の検査とかもするよ。
く:『治験』ということですが、費用はどのくらい掛かりました?
k:治験だから無料。
く:えぇ! 治験といってもある程度の自己負担はあると思ってました。
k:治験って結局、人体実験だからね。
く:……それを言ってしまったら……(^o^;
じゃあ治験じゃなかったら、費用はどのくらい掛かるものなんでしょうか?
k:普通にするとなると、200万円は超える(BAHA本体の値段込み)とか。
く:200万円!!(頭の中で給料の何ヵ月分だろうとかと考えた)
k:この治験ってね、6つの病院で行われたんだ。1つの病院につき10人。
つまり60人の人が治験でBAHAをつけたってこと。
く:私がBAHAを始めて知った時、BAHAのユーザーは10人でした。
それから何年かたって、その60人以外にもBAHAをつけた人はいるわけで。
じゃあ今、BAHAのユーザーは100人近くなっているか、超えているかもしれないってことですね。
k:たぶん。
Q08 手術の時間はどれくらいでしたか?
A08 実際の手術時間は1時間たらずで、あとの2時間は麻酔の導入と覚醒に時間をくう。
それでトータル3時間。
く:手術は全身麻酔と局所麻酔のどちらでしたか?
k:全身麻酔。局所麻酔だと、骨に穴をあける時に響いて辛いらしいよ。
く:私も数年前に全身麻酔で手術したことがあります。
覚醒した後は熱が出たり、手術した日の晩はずっと点滴をされていたし体も辛かったなぁ。
k:私は全然平気だった。
だって手術した日の晩に、部屋を出て出歩いてジュースを飲んだりタバコを吸ったりしたくらい。
く:えーっ!?
k:本当は手術当日と次の日は安静にしていないといけないらしい。
く:当然だと思いますよ(^o^;
Q09 退院してからの通院頻度は今(2008年7月現在)、どのくらいですか?
A09 はじめは1ヵ月ずつ3回。その後は3ヵ月に1回ずつ。
く:この通院って補聴器の具合を見るんですか?
k:インプラントを入れたところの具合を見るんだよ。
化膿してないかとかね。補聴器の方は全然関係ない。
く:それって、通院の間隔がどんどん長くはなっていくんだろうけど、一生続くものなんですか?
k:一生ではないと思う。落ち着いたら大丈夫じゃないかな。
Q10 BAHAのどんなタイプのものを使用していますか?
A10 『BAHA Divino』。
く:このタイプの特徴は?
k:これは音の指向性に優れているもので、側面に『指向性マイクロホン用スイッチ』があって
プログラム選択スイッチをオフにすると、全ての音を拾うけれど、
オンにすると正面からの音だけを拾うように時と場所に応じて使い分けることが出来るんだ。
今みたいに、向かい合って話す時はオンにするの。
裏面には音のボリュームと指向性の音のボリュームを調整するところがあって、
これは言語聴覚士の人が調べて調整をしてくれるんだ。
く:へぇ。あ、電池って普通のものと違うんですよね?
k:空気亜鉛電池というのを使っている。6個で900円。電池の寿命は大体10日間。
く:壊れた時とかはどうするんですか?
k:それは代替品があるから大丈夫。
く:それだと安心ですね。
家でもお風呂と寝る時以外は、BAHAをつけていますか?
k:もちろん。外したら音の聞こえが全然違って不安になる。
Q11 BAHAは普段、どのような手入れをしますか?
A11 たいした手入れはしていないよ。たまに専用のブラシでインプラントを掃除するくらい。
Q12 手術跡は消毒などが必要ですか?
A12 退院してからは消毒もなにもする必要がありません。
Q13 BAHAをつけて、周りの反応は?
A13 親戚とかはみんな喜んでくれた。
相変わらず耳を出して生活しているから、BAHAも見えてるわけだけど、特別反応はないなぁ。
く:家族や職場の人以外、たとえば街中とかでふとBAHAを見た人とかで困った反応とかなかったですか?
たまたま隣に並んだ人が、ふとBAHAに気付くようなことがあると思うんですけど。
k:まったくない。
く:私には顔面神経麻痺があるから、人の視線に敏感になっているだけなんでしょうかね。
k:そうじゃないかな。小耳症の人ってつい他の人の耳に目がいっちゃうものだけど、
普通の人はあまり気にしないもんだよ。
く:それにしても……。BAHA自体が目立たないように小さく作られているように、あまり見せたりしないし、
つい隠してしまうものですよね。
ボニーテイルにしてBAHAが丸見えになっているだけならまだしも、そのBAHAをデコっちゃうなんてすごいですね。
正直びっくりしました。
k:「こういうことする人は初めて見た」って言われたよ(笑)
く:そうでしょうね(笑)
わざわざ隠す必要もないし、見せても全然構わないんですよ。それが本当なら当たり前の姿なわけだし。
でも、それを目立たせてしまうっていう発想はないですよね。
……このデコったBAHA、HPに載せてもいいですか?
k:いいよー。
※携帯電話のカメラで写真を撮る。
く:どうもありがとうございました。
k:なんならBAHAがついているところも撮る?
く:それはいいです!
ファーストフードのこんな混み合ってるところで撮るものじゃないですよ!
↓keroさんの、デコられたBAHA

【余談】
この後、一緒に美術鑑賞に行きました。
keroさんは1点1点じっくり身を乗り出すようにして観ていきます。
私は気に入ったものだけじっくり鑑賞していくタイプ。
たまに休憩用の椅子に座ってkeroさんを待ちながら、その後姿を見ていました。
私にはとっても目立って見えるBAHAなのですが、確かに、私が見ていた限りではあからさまにBAHAを見ていた人はいませんでした。
あれ? と思った人はいるのだろうけど、それをジロジロと見ないんですよね。良識ある人ならば。小学生くらいの子どもならば見ちゃうんだろうけれど。
うーむ。やっぱり私が気にしすぎなのか……。考えすぎなのか……。
Q14 BAHAを使うようになって、困ったことやトラブルとかありますか?
A14 つけたままお風呂に入りそうになったことは数回あった。
く:そんなに装着感がないものですか。
k:うん。
Q15 BAHAを装着して、最初に音を聞いた時はどんな気持ちでしたか?
A15 2次元の世界が3次元になった感じ。
音が立体的に聞こえるんだ。まるで、音が固まりになって音に入ってくる感じ。
あー、これが“ステレオの世界”なんだ……と思って嬉しくて涙が出たよ。
Q16 BAHAをつけて今までと大きく変わったこと、良かったことは?
満足度はどの位ですか?
A16 世界がまったく変わる!
この立体的な音を言葉にするのは難しいけれど、すべての音が固まりとなって頭に入ってきて、
そして、その音がどの方向から聞こえてるのかも分かるし、今まで以上に音楽を聞くのが楽しくなった。
なんていったって、両耳が聞こえたらいいなぁって3歳くらいから思っていたからね。
だから、満足度は10000%だね。
く:10000%とはすごい数字が出ましたね。それほど素晴らしい補聴器ということですね。
逆に不満とかはないんですか?
k:特にない。あえて言うなら防水にして欲しいくらいかな。
く:なるほど。
Q17 BAHAについて、これだけは言いたい! ということはありますか?
A17 小耳症のみんな!! BAHAをつけようぜ!! 世界が変わるよ!!
く:確かに素晴らしい補聴器ではあるけれど、子供のうちからつけるのは難しそうな気がしますね。
遊びたいさかりの子供に「補聴器に気を付けて生活をしなさい」と言うのは酷なことだし。
費用もバカにならないから、何度も壊されたらたまったもんじゃないような……。
BAHAは自己管理が出来る年齢になってから使うのが理想でしょうか。
k:そうかもしれないね。
く:今の段階でBAHAの問題点をあげるとすれば?
k;保険が適用していないこと。壊れやすいこととかかな。
く:保険は何年先か分からないけれど、いつか適用する日がくるでしょうね。
壊れやすいという点に関しては、これは仕方がないことですよね。
本体がもう少し小さくなるとか、音の質がよくなるとかそういう改善はこれからもあるだろうけれど、
壊れやすさばかりは……。
k:そうかもしれない。
【最後に】
keroさんのご好意により、BAHAを体験させてもらいました。
テストロッドというものとBAHAをつないで、そのテストロッドの部分を頭の骨の部分にあてるだけで体験出来ちゃうんです。
テストロッドの部分を持たせてもらって、その振動のすごさにまずはびっくり。
そしてロッドを小耳症である右耳付近の骨につけてみて、雑音の多さに驚いた!
いきなりファーストフードの店内の雑音がグワ―ンと頭の中に響き出すんです。
近くの席の人の会話とか椅子を動かす音とか、しっかり聞こえるんです。普段はあまり気にならない雑音が普通の音量で入ってきてしまって、戸惑いました。前にいるkeroさんの話している言葉が雑音に埋もれてしまって、その中から拾い上げるのに時間が掛かりました。
私は今まで補聴器を使ったことはないし、生まれて○○年、ほとんど片耳だけで音を聞いてきたので、これが両耳で聞く初体験となりました。
体験した正直な感想をいうと、世の中って雑音だらけでうるさいんだなって思いました(^o^;
人間は必要な音と不必要な音を聞き分けているらしいんですが、補聴器はそれをしないので普段は雑音として聞いている音も全部拾ってしまうんです。それがさっきの私の体験したことってわけですね。
それにしても、聞こえるというよりは音が頭の中に響くというこの感覚。すごい衝撃ですね。しばらく頭がクラクラしてました。
貴重な体験をしました。keroさんありがとうございましたm(__)m
【追記】 2010年1月24日
A07にありました『治験』についてですが、すでに終了しておりますので、ご了承ください。
【追記2】 2011年11月27日
2011年3月に厚生労働省の製造販売承認が得られましたが、まだ保険は適用しません。
また、片耳難聴者には認可が下りないようです。詳しいことはこちらを見てください。 →「BAHA Network」
このページはあくまで、BAHAという素晴らしい補聴器があるということを知ってもらいたくて作ったものです。
これから補聴器を使おうと考えている方が、BAHAを選択肢の1つに加えてもらえたら嬉しいです。
厚生労働省にBAHAを認可してもらうために、嘆願書に署名をしたことがあります。あれから数年が経ち、状況はあまり進展していません。正直なところ、今、どんな状況にあるのかも私には分かりません。
この世には今、どれだけの人が人知れず音が聞こえないことに、音が聞こえづらいことに悩んでいたり、辛い思いをしているのでしょう。補聴器によって救われる人が何人いるのでしょう。
1日も早く、認可がおりることを願ってやみません。
最後に、いろいろと教えてくれたkeroさんに最大限の感謝を。
このページに記載されていることに関しては、全て、くるみそのこに責任があります。
何か御意見などがございましたら、くるみそのこまでメールをください。
BAHAについて、もっとkeroさんに聞きたいことがありましたら、まずはくるみそのこまで。