「ねぇ、戦場ではやっぱりこんなことしてたんでしょ?」
腰を打ち付けられて大きく呻いたロイを見下ろしたハボックが言う。
東方司令部司令官ロイ・マスタング大佐の寝室では、歳若い部下ジャン・ハボック少尉が、
部屋の主をその恵まれた体躯で組み敷いていた。
「こ、んな・・・こと?」
「そう。こんなこと」
最奥からずるりと抜き出される感触にまたロイが喘ぐ。
引き止めようといやらしく揺れた腰に、ハボックはいつもは煙草を咥えている唇を無意識に舐めた。
「あんた、初めてじゃなかったし」
「は・・・っ。どう・・かな」
ハボックはイシュバールの戦いで、ロイの姿を一度も目にしていない。
危険の少ない地域に配属されていたハボックは、組み敷く男が英雄と呼ばれていた遠い存在であることに時おり引け目を感じる。
それから。
ひどく悔しくてならなかった。
すべてを焼き尽くす焔に魅了された軍人がどれほどいたか。
部下。同僚。上官。
誰もが紅く燃える彼の人の姿にどれほど魅せられたのだろう。
その場に居合わせることの出来なかったハボックは、彼と共に在った人々を羨んですらいた。
日頃、女好きで通っているハボックだが、戦場で叶わぬ時にその手の遊びに乗ったことはもちろんある。
だから初めてロイを抱いた夜は、その慣れた仕草にああ、やっぱりと思っただけだった。
だが、幾度か逢瀬を重ねるうちに、少しずつそのことが引っかかってきた。
彼に魅せられているのは自分だけのはずはないのだから、だから。
チリチリと小さな棘のように身体のどこかに刺さったその思いつきに、イラついていた。
「どうなんです?やっぱり上手いヤツとかいた?」
教えてください、と抑揚無い声で言って腰を揺らす。
上がりそうになった声を殺して、逃げを打とうとしたロイの腰を荒れた手で強く押さえつける。
きつく瞳を閉じて、無意識にだろう、小さく首を振るロイの姿に喉が鳴った。
「大佐・・・」
「う・・・・、あっ」
目尻に浮かんだ涙を舐めとって、互いの間にある欲望に手を絡めると、短く悲鳴が上がる。
「大佐」
教えてくださいよ、ともう一度ねだると、ハボックは願いの強さを現すかのように強く腰を押しつけた。
ツヅク