■本田エポニーヌ

   美奈子さんが、初めてエポニーヌ役をやったのは、1997年の公演です。このとき以降、エポニーヌ役は島田歌穂さんとのダブルキャストでしたが、島田エポニーヌは、既に高い評価を確立しており、どうしても比べられてしまうという状況でした。

 実際、島田エポニーヌは、初演以来の積み重ねで、エポニーヌという役柄の味を見事に引き出しており、とても素晴らしいものでした。島田さんは、今でも特別公演でエポニーヌ役をやる場合があります。

 島田さんの公演は、いつも水準以上のできで外れがないと言われていますが、美奈子エポニーヌは、特に初期の頃は、出来不出来があったそうです。私自身は、本公演の美奈子エポニーヌは2回見ただけですが、どちらも感動しました。美奈子さんは、毎回、毎回、違ったな歌い方や演技をいろいろ試しながら、公演を重ねていったそうです。それで、日によって感じが異なっていたのだと思います。

 美奈子エポニーヌに本当に驚いたのは、2003年のレ・ミゼラブル in コンサートの公演を見てでした。本公演から時間がたっており、果たして、あのエポニーヌが蘇ってくるか少し心配しながら、観劇していたのですが、蘇ってくるどころか、さらに感動が深まっていました。いろいろな役のミュージカルや、ニュークラシックを歌いこんだ経験がものをいったのでしょう。

 レ・ミゼラブル in コンサートの前にも、コンサートで何度か美奈子さんのオン・マイ・オウンを聴いたことがあるのですが、公演時の歌い方と異なる歌い方で、どうしてもなじめませんでした。以前にも何回か言及したことがありますが、コンサートのは、初めの方が甘い声のオン・マイ・オウンです。でも、エポニーヌの衣装を着て舞台に立つと、本当にエポニーヌが乗り移って来るのでしょうか、本公演の時の歌い方をさらに深めた見事な歌唱で、見る者を感激させてくれました。