■ファンティーヌのナンバー

  ファンティーヌは、劇の最初の方で亡くなってしまう役柄なので、登場場面が比較的少ないです。また、科白的なものを歌う場面が多いため、歌を聴かせるようなところは、次の2カ所ぐらいです。

・夢やぶれて (I Dreamed a Dream)
   ファンティーヌが工場を追われて、これからどうやってコゼットの養育費を稼ごうか途方に暮れている絶望の中で歌う歌です。
  レ・ミゼラブルのナンバーの中で最も良く知られたものの一つで、ミュージカ畑以外の歌手にも、良く歌われています。私も大変好きな曲です。
  私も、CD等で、レ・ミゼラブルと関係ない人がこの曲を歌ったのを聴いたことがあります。多くはクラシック系の歌手なのですが、私の感覚では聴くに耐えないものが、あります。技術的には優れているのでしょうが、後半の盛り上げで声量豊かに迫力のある声で歌い上げ、とても死にそうにない生命力さえ感じさせてくれます。   実は、海外あるいは、最近の日本のファンティーヌ役の中にもいますが、この歌で、「力強さ」を感じさせるような歌い方をされのが嫌なのです。声量は必要なのですが、ファンティーヌの心情がひしひしと伝わるようなものでないといけません。

 私が聴いた中で、最高のものは、やはり岩崎ファンティーヌです。特に、ミュージックフェア(1987)で歌ったのは絶品で、今でも録画を何度も見返しています。

 本田美奈子.さんは、この歌をどのように歌ったでしょうか? 発病が後半年遅ければと心から思います。

・ファンティーヌの死 (Fantine's Death)
  死の間際に、ファンティーヌがコゼットの幻を見ながら、歌い始め、バルジャンが、「コゼットのことは自分が護る」と約束するシーンです。ファンティーヌには結局、不幸な境遇で歌う歌しかありません。