クリスマス2008 拍手お礼だった、クリスマスSS+イラスト、渡瀬です。
あくまでイベント用で、本編の展開とは齟齬がございますことをご了解の上、お読み下さい。すみませんすみませんm(__;)m


部活の帰りに本屋に寄った。
本屋の隣が洋菓子屋で……キラキラしたディスプレイと、クリスマスソングに釣られて、思わず覗いてしまった。
綺麗で繊細でもちろん旨そうな、でも腹の足しという角度から考えた場合、いかにもコストパフォーマンスの悪そうなケーキを眺めているうちに―――

お菓子くらいだったら、受け取ってくれるだろうか?

ふと、そんなことを考えた。
後々まで残るブツを、クリスマスにプレゼントするのは、俺の立場……彼氏として立候補してはいるが、あくまで単なる友人……としては遠慮すべきだろうから。
食べ物なら、軽く受け取ってもらえるかもしれない。
幸せそうに、俺の上げたケーキを食べる、彼女の幸せそうな笑顔を想像するだけで、一瞬寒さを忘れた。そうだ、どうせ食べさせるなら、生クリームがたっぷり乗ってるヤツにしよう。彼女の唇や、指なんかに白い生クリームが付着した絵は、きっと勃……あ。

邪な想像が巡り始めたところで、気が付いた。気が付いてしまった。

でもアイツ、相変わらず甘い物は控えてるから、お菓子なんて上げたら、迷惑か……

がっくり。

毎日そばにいて。
伝えたい気持ちは溢れんばかりに高まっていて。
伝える言葉も山のようにストックされていて。
伝えるにふさわしいイベントがやってくるのに。

でも、伝えられない。
伝えてはいけない。

飲み込んで。
堪えて。
ただ見つめて……

溜息が、盛り上がりかけたテンションも、体温も一気に奪っていった。
キラキラのクリスマスに、ふっきるように、背を向けた。(終)




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