野ブタ。をプロデュース


 2005年10月〜12月放送



「PRODUCE 1」  「PRODUCE 2」  「PRODUCE 3」  「PRODUCE 4」 「PRODUCE 5」

 「PRODUCE 6」  「PRODUCE 7」  「PRODUCE 8」  「PRODUCE 9」  「PRODUCE 10」



「PRODUCE1」 〜いじめられっ子転校生を人気者に〜


むーん。


ドラマならではの面白さはありつつ、でも原作でのテンポのいい面白さは薄まってしまった感じがしてしまう、第一回。


亀梨和也演じる修二は原作のそれよりも随分いい奴になっていて、「ゲーム」の部分と素の部分との切り替えが判り辛かった気がしたかな。

まり子ちゃんのお弁当はえらく可愛らしいものになってるし(弁当に湯気のたったお味噌汁!?そしてお玉でよそってる!?)、嫌々やるはずだった「プロデュース」にはむしろ積極的だし。

で、原作の底辺にあるブラックな部分はあっさり描いていくつもりなのかなぁ・・と思ってたら、ここはどうやら、この先もじっくり描くつもりでいるらしい。

なんというか、やっぱり「いじめ」の場面というのは演技だと判っていても心が塞ぎますな。
なんでそこまでするか。
彼女が何をしたっていうのか。

だけどこの部分を執拗に描いていたからこそ、信子が猿の手に「バンドーなんか消えてしまえ」を願い、そしてそのあと「その願いの取り消し」を願った、というところに深みが出たのかもしれない。
原作の野ブタが自ら修二のプロデュースを望んだように、やっぱりここでも本人がやる気になる事が必要不可欠だと思うし。


むーん、どうなるんだろう。
脚本が木皿泉なだけに、期待してるんだけど。

まあ、原作があるものについては先行するイメージが既にある分、難しいだろうとは思います。
「anego」も最初は違和感があったしね。

今後に期待したいです。(・・いや、決して第一話が不満だってことではなくて。)


ちょこちょこ思ったこと。

猿の手の場面で全体の色が変わる演出は、「女王の教室」の継承なのかな。

それと・・「ウザさを自ら演出している」というPちゃん演じる草野彰は、私には
酔っぱらいにしか見えなかったのですが・・。


で、「烏天狗じゃないかって・・」の修二は本当に可愛かったです。(デレ。)


ふむ・・

タイトルバックの名前は、並ぶのね。


「PRODUCE2」 〜(秘)キレイ作戦〜


「真夜中様」の話をして台所へと向かう弟・浩二を、チラって上目遣いで見て笑う修二(お裁縫中)の、その表情がなんだかすごく好きかも。
あと、信子から「お願いします」って頭下げられた時のニヤって笑ってプイとソッポ向く顔も、すごく好きかも。

と、細かいところに先ずはツボってしまった第2回。


1・2話を観る限り、どうもこれはやっぱり、人物設定は原作どおりには描かないようですね。
マリ子ちゃんがある意味とても普通の、そしてかなり自分に自信があるらしい女の子に描かれているというのは、結構びっくりしたなぁ。

「奢ってよね!(バキューン)」はちょっと、引いたかも。

原作では最後に、ギリギリ修二を救えなかったマリ子ちゃんだったわけですが・・でも、ドラマ版マリ子ちゃんだと、そこにすら到達できないかもしれないなあ。

そういう役割として、恐らく彰がいて、そして信子がいるわけなんだろうし。

修二(そういえば長男なのに「修二」なんですね)は、更に「いい奴全開」になっていました。
あの程度の表面と内面のギャップは、おそらく誰しもが持ってるものだし。

原作では、プロデュース自体最初は乗り気ではなかったものの、「自分のプロデューサーとしての能力を試す」という楽しみを見付けてからは俄然張り切って野ブタを変身させていった修二でした。勿論、自分の為に。
だけどドラマでは自分がどうとかって事よりも、ちゃんと信子の気持ちを汲んで、信子の為に、頑張ってましたよね。
あんな服まで着て。

それに、お父さんに対してもいい奴なんだな。
「三者面談、アレ着て来ていいよ」っていう修二・・じーんとしたもん。
原作の修二のキャラなら絶対、何としても阻止したはずだ。

原作のテイストが抜けてしまってるのは少々不満ではあったけど、うん、この修二は好きだと思いました。


信子、今回は頑張ったな。

「お人形の呪縛」はいまいちよく判らなかったけど(しかし人形、似すぎだろう。)、でもあの鬱陶しい髪は、周囲から「自分を隠す」っていう意味合いもあったんじゃないのかな。
多分誰にも見られないように、誰の注意も引かないようにして、隠れるようにして生きてきた信子。(結果的にそれで余計目を付けられるわけですが・・)

その信子が髪を切り、そのうえ私服を着て登校する。
自分から「おはよう」と声をかける。

あの、緊張のあまり固く握り締められた拳が小さくガッツポーズを作った時には、なんだか泣きそうになりました。

頑張れ、信子。


でもあのペンキはありえないわなー。
あれは流行らないだろう。

いや、ちょっとここも感動したんだけど。

でもでも、あの二人あんなに派手にプロデュースしてたらすぐに周りにバレるよね?
あたしとしてはそっちの方が心配だったりして。

というか、「流行りはすぐに納まった」っていうけど、
ペンキはそう簡単には消えないぞ!!


そして、「悪意の大元」はバンドー達ではなく、他にいたらしい。
バンドー達のいじめは酷いけど、誰にも判らないようにやる陰湿なものではなかったわけで。
だけどこの子は、そのバンドー達を隠れ蓑にして、じりじりと信子を苦しめるつもりでいるらしい。
悪意をもって。

次回は「身の毛もよだつような」文化祭。
さて、どうなるか。


「PRODUCE3」 〜恐怖の文化祭〜


今回、亀ちゃんファンさん的にはいろんな意味で大興奮な回だったりしたんじゃないんでしょうかね。

とりあえず、いちばん羨ましいのは裕翔かと。
「オレのお茶飲んだろ!」締め上げられ
お姫様ダッコ(←推定)でベッドに運ばれ
さらにお蒲団かけていただいて・・
極めつけは、お手々繋いでお化け屋敷

弟って・・ええなぁ〜。

同級生の奈美ちゃんは腕をからませてるし、ズームインでは「オレのコレ」発言まで飛び出すし、いやいやなんつーか、ほんと大変だ。


ほかにも、

「先生達に引きずられていく修二くん(×2)」とか
「こんにゃくにビビる修二くん」とか

見所も満載でございました。

あと、シャッター押す前の「オッケーイ」っていうウィスパーボイスが素敵だったな。



さて、今回の「野ブタ」。


信子はいっぱい傷ついたり挫けたり迷ったりしているけど、それでも自分を無くしてはいない。
「やるんだったら楽しくやりたい」と、黙々準備する信子は立派だったと思います。

ススキのシーンは秀逸だった。
なんか映像だけで、涙腺が刺激された気がしました。

「楽しいことって、後になってみないと判らないんじゃないかな。」

この信子のセリフは、最後の生霊に繋がってくる。
そして修二のこの先にも、きっと繋がってくるんだろうな。


おとうさんとのシーンも良かったです。

お互いに、不器用な二人。
信子の好きなおまんじゅうを差し入れに、仕事を抜け出して応援に来たおとうさん。
「おとうさん」が言えなくて、代わりに「おにぎり」と叫んで走る信子。

修二と先生達の歌が物凄くマッチしたBGMになって、とてもじんとくるシーンでした。

信子から貰ったおにぎりを食べるおとうさんと、おとうさんから貰ったおまんじゅうを食べる信子。
二人が歩み寄れるのも、きっとそんなに遠い先の事ではないんだろうな。

その出来事のあと、「カップル限定にするのなら」といってあの文章を書けた信子は、きっともう大丈夫だと思う。
たった一人で穴を掘って、二人を掘り当てた信子なら、もう大丈夫なんだと思う。


今回は、修二の内面にもスポットが当たりましたね。

自らを「人気者」だと自認する修二。
だけどみんなから当てにされ忙しく振り回される修二は、滑稽でむしろ痛々しい。

それでも人気者でいる為に、駆けずり回る。

いつの間にかいいように使われて、そうしてようやく全部の役割を終えて二人のもとに戻った時には、文化祭は終わってしまっていて。
終わってしまったお化け屋敷を見た修二は、ほっとしたと同時に淋しかったんだと思う。
きっと修二は約束を果たすことに必死で、文化祭を楽しむ事はできなかったから。
そして、自分がいないと何も出来ないと思ってた二人が、彼なしでも立派にやり遂げていたから。

だけど、その心の痛みはきっとこの先へと繋がる「希望」でもあって。

弟・浩二と手を繋いで入ったお化け屋敷で信子の書いたあの文章を読んで、そうして暗いお化け屋敷から出た時。
その逆光の中に浮かぶ、彰と信子を見た時。

多分あの瞬間、信子よりも修二こそが、奇跡に辿り着いた「もぐら」だったんだろう。


何か大切な事に気付き始めた修二。
同時に、自分の「空っぽさ」に気付き始めた修二。

話はこの先、どう転がっていくんだろう。
もう原作は別物として置いといて、先が楽しみになってきました。



それにしても恐ろしいのは、「お化け屋敷」を深夜にひとりで笑いながら破壊してしまう女子生徒ですよ。

・・怖い。
夜の学校で、たった一人で、悪意をもって、お化け屋敷をあそこまで壊してしまう・・夜中のお寺だか神社だかで五寸釘打つ人に通じる怖さがあるなぁ。
もう既に、異常だもん。

この底知れない悪意は、果たして「誰に」向けられたものなんだろう。
いつ、それは明かされるのかな。




「PRODUCE4」 〜恋の告白作戦〜


今回、実は録画に失敗いたしまして(直接録ろうと思ってたらうたた寝してました)、頭の10分くらい見れてないんです・・。

バカすぎる。_| ̄|○

あたしが見た時にはセバスチャンが立ち尽くしていて、そいでまり子が信子の手帳を拾うところでした。


想像するに、

「114の日」の説明?があって
3人の手帳にブタのシールが貼られて
修二はまり子に誕生日を教えてあげなくて・・

って、そんな感じだったのかしら。

ぬかった。
本当にぬかった。


というわけで、途中からですがひとまず感想。


まり子の修二への執着・・は、あんなもんなのかな?普通。
詮索とか束縛とかが苦手なあたしには、結構怖く感じてしまうんですけど。

原作のマリ子ちゃんは物凄く控えめで押し付けがましいところの無い子で、だから何とか上手くいっていたわけでしたが・・原作と違い「自分は修二の彼女だ」って思い込んでしまっているドラマ版「まり子ちゃん」なので、その言動は修二にはかなり億劫なんだろうなぁ。

そもそも悪いのはやっぱり修二で、好きな訳じゃないなら一緒にお弁当食べたりしなければいいんだけど。いちいち喜ばせるような事言わなければいいんだけど。
原作では「多分修二は自分でも気付いてないけど、マリ子の傍は居心地が良かったんだろうな」って思わせる感じがするんだけど、ドラマの修二は決して居心地よさそうではないし。
だから、どうもこの関係は腑に落ちない・・。
まぁそれでも修二がまり子といるのは、「人気者である」為の作戦のひとつだったりするわけなんだろうけど。

それじゃまり子がかわいそうだなぁ。
と、好きじゃないけど同情してしまいます。


「お母さんと私とどっちが好きですか」と聞かれ、「お母ちゃん」と答えてフラれたセバスチャン。

「悪さばっかりしてた俺を、絶対に見捨てんかった。そんな母親が好きやいう事が、そんなに悪い事か。」
「女に嘘がいわれん事が、そんなに馬鹿な事か。」


この言葉は、まり子に嘘ばかり言ってた修二には少なからず痛かった筈。
そう思ったんだけど。

だけどその直後にまり子の作ったケーキを、やっぱり嘘を並べる事で「食べずにいる」事に成功し、それを彰と信子に食べさせた修二。
板チョコに書いたメッセージや紙でつくったキャンドルや、本当に急ごしらえの、だけどそれだけに本当に心の詰まったケーキだったのに、それでも。

そのまり子の想いを感じ取った信子が
「これは食べなきゃ。心こもってるし。」
とケーキを差し出すものの、修二は
「まり子にびしっと、喜んでるとこ見してるし。」

とさらっと答えてしまった。

これははじめて私が、「修二って嫌な奴・・」って思ったセリフでした。

今までは修二が何か「あらら」って感じの発言してても、そんな風に思うことは無かったんですよ。むしろ、「そういうの、あるよなぁ」って同調してたくらいで。
・・だけど、このセリフは流石に、もしも本心で言ってるなら、「ああ・・」って感じだったなぁ。


だから。
だからこそ。
なんか浮いちゃった気が、してしまいました。

このセリフを言わせて「嫌な奴」ぶりを誇張するのであれば、今までにもっと修二の嫌な部分を描いておくべきだったんじゃないのかな?と。
もっともっとモコモコの着ぐるみを、着させておくべきだったんじゃないのかな?と。

だってどう見てもいい奴だったもん、修二。
弟にもお父さんも彰にも信子にも、いつもちゃんと向き合ってたと思うもん。
友達との約束も、駆けずり回ってちゃんと守ろうとしてたもん。

なんか見てると、まり子に対してだけ、いつも不誠実な感じがして。
それが、見ていてなんだか物凄く不自然です。

今、ふと思ったけど。
もしかして、原作の「森川くん」の役割はまり子が担うことになるんだろうか?




彰、いい奴だな。
言動は「ウザい」とかいうより訳わからない感じではあるけど。

だけど、人を見る視点がいつも公平で、そして優しい。

彼の役割はあたしにはまだ本当に読めないんだけど、途中何かがあっても最後に修二の傍にいてほしいと、本当にそう思います。


そして信子。

水を被る自分の事よりも水を掛ける修二の事を心配して、自分ではなく修二の為に「野ブタ。パワー」を自分に注入した信子。
廊下でのあの姿はちょっと笑えて、たけど泣きました。

バンドーと向き合って、怖くて怖くて、それでもバンドーの心すら動かしている信子。

「人は変われます」

信子が言うその言葉は、本当に深い。


そして「114の日」当日。
先生までがこの行事を、そして明らかに「いじめである」と見られるこの行為を見守っているというのはかなりありえないと思うのですが・・それはともかく。

「人って、変われるよね。」

ここで修二に告げるには意外だった、この言葉。
あたしには、「ここで水を被って笑いものになっても、あたしは変われるから」って・・「だから、掛けても大丈夫だから。」って、そう言ってるようにも聞こえたな。


頬を引きつらせて緊張し、修二が紐を引こうとしたその時。
信子が指名したのは、以外にもバンドーだった。

そして、バンドーは信子の上に花を降らせた。


てのひらに溜まった花びらを握り締める信子は、なんだかとても素敵だと思いました。



このあと、「ホントおじさん」の出現によって(?)信子への恋心に気付いてしまった彰。

そして信子は、修二の「あみだくじ」を見つける。

「花」に辿り着くまで、何度も何度もあみだくじを繰り返した修二。
ようやく辿り着いた「花」を、マルで囲った修二。
そして、その「花」の文字にそっと触れる信子。

答えが出せなくてあみだくじに頼ろうとした修二だったけど、きっとほんとはもう、答えなんて最初から出ていて。

「花を降らせる理由」が欲しくて、「花を降らせる勇気」が欲しくて、あみだくじに自分が出したのと同じ答えを示して欲しかったんだな、って思ったら。

「人気者の修二くんを投げ捨ててでも花を降らせる」って、あの壇上で

心配そうに見守るまり子ちゃんとか
最後まで力ずくで何とかしようとする彰とか
面白がって見守るクラスメートとか

彼らを見渡しながら、そんな風に決意していたんだな・・って思ったら。

なんだかもう、ここは泣かずにはいられませんでした。


屋上でのセバスチャンの言葉は、ここに繋がっていたんですね。


「あの二人が好きだったから」
「あの二人といる自分が好きだったから」


・・それに気付いて、
「そうなんだから、しょうがないじゃんか」って、あんな静かな「心の声」で呟く。

そんな修二は、やっぱりとてもいい奴だと思ったな。


だけどそれなら。
そう気付いたなら。覚悟したなら。

あの花は、修二の手で降らせてあげたかった。
今、このタイミングで。

信子ではなく修二のために、そう思う。


原作どおりの展開になっていくとするならば、これからもっと、修二の「嫌な部分」を見せられる事になる。
そうしてきっと、痛いめにあう修二の姿も見る事になる。

このドラマの修二の事、あたしはもう相当好きになってしまったから。
いいとこいっぱい見てしまったから。

そのことがもう、今から凄く辛いです。



ともあれ。

信子への気持ちに気付いた彰と
恋心かどうかはともかく二人を好きな事に気付いた修二と
修二が自分に花を降らせるつもりだった事に気付いた信子

彼らの関係がこれからどう進展するのか、あるいはこじれていくのか

もう本当に、目が離せなくなってしまいました。