Nixie tube: IN-14 (imported from Georgia Republic)
Controller: Attiny26L@60kHz
Power Supply: DC12V
Normal Power Consumption: 90mA@12V
Standby mode Battery Consumption (disabling display): 130uA@3.6V
Hi-V source: 180V generated by DC/DC, NJM2360A(MC34063A)
概要
IN-14は旧ソ連製のニキシー管です。多く安く流通しているようです。5のクセのある字体
が敬遠され不良在庫しこたまなんてとこでしょうか。とりあえずこれで作ってみることにし
ました。足が線状なのはユニバーサル基板に使いやすいです。
土台のアクリルは渋谷ハンズで5cm×50cmの板を買ってカットしてもらいました。
Attiny26Lは秋月。ユニバーサル基板マザーは千石。ニキシー管用が秋月。
基板を別にすることで2本単位で交換可能です。
DC/DC用の新日本無線NJM2360Aはラジデパのサンエレクトロ。
桁ドライブ用高耐圧PNP/NPN-Trは鈴商。
バックアップ電源はSANYOの3HB70というニッケル水素電池でこれも鈴商。
AC電源が途絶えた時、スタンバイモード動作の130μAを供給します。
70mAHなのでかなり持ちます。
高圧系がムキ身なのが問題とか指摘する人がいるかもしれませんが、1人暮らしなんで
問題なし。その内にケースに入れます。
コントローラ
コントローラをAtmel/AVRにしたのはここの勧めによります。
http://elm-chan.org/docs/avr.html
プログラマも勝手にお世話になりました。確かによかったです。60kHz動作で動くのは基本的に
1CPIのAVRならではでしょう。CPI=1命令あたりのクロック数。
実装ですが、シングルラインのソケットを2列に並べ水晶をこのように実装しています。
Attiny26/Lは低速水晶発振用のコンデンサを内蔵してるので外付け不用です。右上の端子は
プログラミング端子です。
最初はCoolRunner2あたりのCPLDで論理設計しようとしてましたが、この目的には最適では
ありませんでした。CoolRunner2は100MHzを越える周波数でも動作することが前提で、コア
電圧が固定されています。これが使いにくいのです。ACアダプタと電池の2モードを考え
ると。Attiny26Lの2.7V-5Vはえらく使いやすい。C言語で少ない行数でサッとマクロな動作
を記述できる。えらく便利です。このような低速低消費アプリにはこのようなマイコンが
最適です。
高圧発生
基板右端のDC/DC回路ですが、インダクタがトロイダルでないのが分かると思います。
DC/DCのみの評価実験ではトロイダルは負荷が重たい(18mA)時に発熱がひどくしかも体積はか
さばりました。このインダクタは小さく発熱ほとんどなしで採用しました。
磁性体形状の問題なのか材質の問題なのか、は不明です。トロイダルはエネルギー蓄積をコア
内のみで行うのに対し、ドラム型は周囲の空間もエネルギー蓄積に使ってしまうためでしょうか。
DC/DCコントローラはMC34063A互換のNJM2360Aで高耐圧パワーMOS-FETをドライブしています。
初期実験時、ゲート付属回路はGNDとの間に抵抗1本のみでした。
これだとON→OFFでVthを通過する時にゲート電圧が一時的にフラットになってることを発見。
これが波形で中央付近の立下りのためらいがあります。Miller効果のようです。
これがパワーMOS-FET発熱の原因と考えられたので対策でPNPトランジスタを追加しました。
National Semiconductor社のアプリノートAN-558に示されていた回路です。
その結果、18mA負荷時でひどい発熱が人肌程度になりました。ただIN-14のダイナミック表示
程度ではあまり差が出ないかもしれません。
なお自分でトランスを巻く元気と技術がある場合は高耐圧トランジスタを使わない回路にする
ことが可能です。AVRと同じELM氏のホームページに回路が示されています。
http://elm-chan.org/docs/avr.html
資料編の電池駆動ニキシー管用DC-DCコンバータ
余談ですがアメリカの半導体メーカーは昔から前記のような教科書的知識を提供してくれます。
ありがたい。ユーザとしてのエンジニア育成の観点でしょうか。この場合、直接的には自社
製品売上には貢献しない。それでも上記ANを見ようとすれば関連分野に関心を持つ人が
ホームページをアクセスする効果は期待できるでしょう。
桁ドライブ
ダイナミック表示の桁ドライブはこんな回路にしました。
この部分にはフォトカプラがよく使われますが、遅いので止めました。この回路はコン
トローラが電流を吸い込むか否かで制御しています。Hドライブの電流の流出をなくす
ことでバッテリー動作時の消費電力を最小に抑えています。カソード側ドライブは月並
みにSN74141です。
ということでこのプロジェクトで自分なりに設計の醍醐味を味わうことができました。
(2006/07)
アクリルケース
アクリルのケースにいれました。専門業者に注文して製作してもらいました。
基本的に直方体ですが、左右は筒抜け。またネジ止めのために底は浮いた位置に接着してます。