特定計量証明事業者認定制度(MLAP エムラップ:Specified Measurement Laboratory Accreditation Program)は、ダイオキシン類などの極微量物質の計量証明の信頼性の向上を図るため、平成13年6月の計量法の改正により導入された認定制度です。計量証明事業所がダイオキシン類の計量証明を事業として行うために必要な認定制度です。
現在ダイオキシン類の計量証明事業を行っている事業者は平成15年3月31日までは引き続き行うことができますが、平成15年4月1日以降は認定を取得していない事業所はダイオキシン類の計量証明を事業として行うことはできません。
ppt(1兆分の1)やppq(1000兆分の1)といった極微量分析の精度を担保することを目的としたもので、事業所の技術的能力、管理体制などが審査されます。
臭素系ダイオキシン類とは、塩素化ダイオキシン(PCDDs/DFs)と同等の骨格に、塩素および臭素が任意に置換した物質の総称です。臭素系ダイオキシン類は有機臭素化合物の加熱や燃焼により生成することが実験的に認められており、有機臭素系難燃剤を含む製品の火災や焼却の処理の際、あるいは過熱を伴う製造プロセスにおいてもこれらが環境中に放出される可能性があると言われています。
臭素系(塩素/臭素化)ダイオキシン類は理論上ではPXDDs(X=Cl[0〜8]・Br[0〜8])で1700、PXDFs(X=Cl[0〜8]・Br[0〜8])で3320存在し、その特徴としては、塩素化ダイオキシン類同様 融点は高く、蒸気圧は低く、また水への溶解度も低い。塩素化物との大きな違いとしては、紫外線による光分解がその速度が速い(塩素化物のするが)。このことから臭素系ダイオキシン類の測定分析において試料採取時、前処理時に十分な遮光が必要となる。また前処理で前駆体であるポリブロモジフェニルエーテルの除去がされていないと、分析時にインジェクション部で熱分解・イオン化室で脱臭素化し臭素化フランを生成することなどから、臭素系ダイオキシン類の測定分析は非常に困難である。
毒性については、それほどまだ解明されていないが、Dr.Safe(アメリカ)は臭素化ダイオキシン類および臭素系(塩素/臭素化)ダイオキシン類について、毒性評価は塩素化ダイオキシン類と同じ毒性等価係数(TEF)を用いることを提案しています。
平成11年7月16日に施行された「ダイオキシン類特別対策措置法」附則 第二条で 『政府は、臭素系ダイオキシンにつき、人の健康に対する影響の程度、その発生過程等に関する調査研究を推進し、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。』 としている。
環境省では、これを踏まえて平成12年度に行った臭素系ダイオキシン類に関するパイロット調査を行っている(平成13年11月30日発表)。
調査地域として、焼却施設周辺地域(A地域)、それ以外の一般都市地域(B地域)、対照地域(C地域;農村地域)を設定し、環境媒体として、大気、降下ばいじん、土壌、地下水、水質、底質、水生生物(魚介類)、野生生物(鳥類、ほ乳類)及び食事試料の9媒体を採取し、臭素系ダイオキシン類(モノ臭素ポリ塩素化ダイオキシン類、ポリ臭素化ダイオキシン類に区分)の測定を行ったものである。
また2002年10月7日には、環境省環境管理局 総務課ダイオキシン対策室より
「 ポリブロモジベンゾ-パラ-ジオキシン及びポリブロモジベンゾフランの暫定調査方法(平成14年10月)」が発表された。
なお平成12年度に行った調査結果は、以下の通りである。
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| ○ | モノ臭素ポリ塩素化ダイオキシン類が検出された。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| △ | ポリ臭素化ダイオキシン類が検出された。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| × | どちらも検出されなかった。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||