おじさんとおばさん 平 安寿子 h22.10.16完読
主人公達は、小学校6年生の時のクラスメイトで、
全員昭和28年生まれの57歳です。
<女性>
占部久美子……独身の銀行員で、施設に入っている認知症の母の介護をしている。父親の相続をめぐって兄とけんかをし、絶縁状態にある。
50を過ぎて生理が止まり、女としての性欲から解放されたことを喜んでいるのは、男とか女とかではなく、人間としてつき合っていけると考えたからである。
生涯独身であったが、男の関係はそれなりにあった。また、独り身であったことを後悔しているわけではないので、人からそのことを言われると腹が立つ。
川野緑……専業主婦で、3人の子供全員が結婚し孫がいる。夫や孫の世話で大変なのに、その上わがままな義母が同居したのでストレスが貯まっている。自分を認めてくれない夫や姑への欲求不満の解消のために、三村と不倫関係になる。
それは緑にとって初めての経験であった。
要支援でもないのにわがまま勝手な義母の介護、それを専業主婦だから当然だという夫の無理解で爆発しそうである。
三村とのメールを義母に見られたのは、メカに弱い義母なら大丈夫という油断からである。夫にこのことを詰問された時、開き直り自分の正当性を主張して夫を言い負かす。自分は三村に義母のことを相談していただけ、話を聞いてもくれないあなたに責任があると、義母のわがままや夫の無理解を責めた。その反論に対して夫は黙るしかなかった。
緑にとって不倫はセックスが目的ではなく、恋愛によって自分を女として認め、優しい言葉をかけてほしかっただけである。
水本順子……美人で小学校の時はあこがれの存在であった。地元の資産家の息子に見初められて結婚し男の子を産むが、姑や小姑との確執に負けて離婚しバツイチとなる。今でも女の魅力を求め、ホルモン注射を打っていて、自分の魅力には自信があった。
今はハウスクリーニングの仕事をしているが、その会社の年下の店長に恋をし、関係を迫るが拒否される。その時彼に言われた言葉、「女なら誰でも良いわけではない」に大きなショックを受ける。
順子は自分に惚れて、ちやほやしてくれる人がほしかった。そこで昔から変わらず今も、自分を憧れの目で見てくれている仏壇屋の江口にアタックする。江口もその気になるが、もう少しの所で、順子の息子にじゃまされて失敗する。そのことがきっかけで順子は、一気に江口への気持ちが醒める。それは彼女も男なら誰でも良いのではないことに気づいたためで、これからは息子のために生きて行こうと決意する。
女手一つで苦労して育てた1人息子は、わがままで自分勝手であり、ネットでアニメの仕事をしたいと言い出すので、仕方なしに起業資金を出してやる。
<男性>
江口正彦……地元の仏壇屋で跡を継いだ。小学校の時から順子に惚れていて、その順子からの突然のアタックに驚き狼狽する。そのチャンスをうまくつかむことができなかったことに、自分の不甲斐なさを痛感し後悔をしている。
再度チャンスをと思ったが、順子の息子が帰ってきて同居することになり、順子から、これからは良き友達としてつきあってくださいと言われ、女心の気まぐれさにあきれる。
三村寛治……地元のアナウンサーであるが、ちびではげている。今の緑に好意を持ったのは、アナウンサーの仕事柄、自分が自分がと主張する自立する女ばかりを見てきたからである。それに引き替え主婦は、謙虚で控えめな所が良いと思っていたが、緑は不倫関係になると一転わがままになり、都合の良い女を求めていた三村の気持ちは一気に醒めて行く。それでも一端そういう関係になった上は別れることは難しく悩む。
セックスレス10年以上の三村にとって、久々のセックスであり、緑とうまくできるかどうかと心配したが、そこそこできたことで、男としての自信を取り戻す。
中田高志……妻を癌で亡くすが、ボランティア活動に夢中になることで、その寂しさから救われる。久美子にアタックするが、人生には良き伴侶が必要であると、口説いたことから嫌われる。
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小学校6年生の時の担任の先生の息子が選挙に出ることになり、その応援者が先生の担任した生徒を集めて、励ます会を開きます。そこに偶然集まった6年3組のクラスメート、男女3人ずつの6人。そのおじさんとおばさん達の物語です。
年はとっても若い時の面影はあるもので、すぐにお互いが分かり、その当時の思い出話で盛り上がります。その場の盛り上がりの勢いで2次会に行った後、このままで別れるのは寂しいと、同級会の準備委員会を作り、6人で定期的に集まることにします。
男と女の恋は年をとってもほとんど変わらないもので、小学校の6年の時と同じように、相手がどう思っているかの腹のさぐり合いです。そして、相手のちょっとした言葉尻や仕草で、自分に好意があるかどうかを推し量っていきます。
相手が自分に気があると思っても、そこは分別ある大人ですから、少年のような軽率なことはできません。もし失敗をしたら大恥をかくので、慎重の上にも慎重に行動をします(^_^;)。
人はいくつになっても、「恋はしたい、ときめいていたい。」ものです。でも家庭は壊したくないし、今の自分の生活も守って行きたい。しかし相手は人間であり、その人の感情や思い人生が入ってきて、ややこしくなります。
人は年とともによりプラトニックな恋を求めるものです(*^_^*)。
まあ、いろいろ言っても人は寂しいもので、毎日のつらい生活に耐えて行くためには、恋は良いものですね(*^_^*)。
50代のおじさんとおばさんに共通している話題は、老化現象、家族の心配ごと(息子、娘のトラブル、親の介護)です。人の悩みは死ぬまで続くもので、それがなくなれば人生は終わりかも……。
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