昨日乃南アサの<花盗人>という短編集を読み終わった所です。ラストの毒の効いたおちが良いです(笑)。彼女の作品は初めてだけど気に入りました。
<花盗人>は<桜の枝を折って、この枝はいつか枯れるけど、自分の愛は枯れない。>そんな劇的なプロポーズをされたヒロインに待っていた結婚後の悲劇の物語でした。彼は働いてはいるものの、家では一切何もせず、全て彼女を頼りにする。彼女は仕事だけでなく、彼の世話でくたくたになるわけです。たまに友達と食事をして遅くなると、晩ご飯も食べずに待っていて、遅くなったことを責め、暴れる。妊娠をしても、勝手に彼が仕事を辞めてしまうのであきらめる。与える一方の人生なわけです。<この人は桜の小枝だけくれた、そして私は全てを与えた。>こんな言葉がヒロインからありました。これが小説全体を物語っている言葉でした。私は彼女が勇気を持って離婚を言い渡し、あわてふためく旦那の姿がラストだと楽しみに読んでいたのですが、結局ヒロインは自分を傷つけてしまう、悲劇的なラストが彼女らしい所でもあり、悲しくもありました。
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