主演の原田美枝子は「愛を乞うひと」の熱演で映画賞を総なめにしただけに、演技力には定評がありますが、今回も予想通りのうまさでした。彼女のクールさがよく出ていた気がします。(監督は「愛を乞うひと」と同じ平山秀幸監督作品です。この映画は私のお薦めで、感動間違いなしです。是非機会があれば見てください)。
ベストセラーになった原作を映画化するのは、本を見た人も映画を見に来て、原作との比較をされます。全く同じだと、映画を見に行く意味が無いし、そうかといって、全く原作と変えたのでは期待を裏切ることになります。そんなわけで、「OUT」は大幅に変わっていました。視点(佐竹対雅子から主婦4人の絆へ)を大きく変えています。もっともあの大作を2時間で描くのですから、枝葉を大胆にそぎ落としていく必要があります。
でも、ある意味ではその枝葉が面白いわけですね。今回のOUTでいうと、佐竹の存在です。彼が最初の殺人から得た精神的かつ人格的な影響。クラブやカジノをどん底からどのような気持ちで育ててきたのか。それがわけのわからない主婦によって、一夜にしてだめにされたときの挫折感。雅子に対する執拗な復讐とその理由。映画では、雅子対佐竹の息詰まるようなスリルはありませんでした。だから、リンチもなかったです。あの怖さを期待していったので、ちょっとがっかりでした。
「 OUT」の4人組凄いですね。雅子がボス的な存在みたいですが、この間ニュースを騒がせた、看護婦4人組を思い出させます。死体の処分を買って出た雅子が、ヨシエや邦子を共犯に誘い込む手口はあの看護婦の主犯とその他の看護婦の上下関係を暗示するようです。あの事件が起きる前にこの小説はあったわけだから、どう影響したのか興味のあるところです。「事実は小説より奇なり」といいますが、現実に起こる事件の方が遙かに凄いです。
死体を浴室で解体しましたが、これから先、あの浴室でお風呂に入るわけですから、気持ち悪くないのでしょうか?あの雅子という女性は、神経が普通の人とだいぶ違いますね。
「OUT」の死体解体は、あんなにスムーズにことが運ぶわけがないと私は思います。雅子の夫や息子はお風呂に入るわけだし、その臭いや雰囲気に気がつかないわけがありません。それと、隣の家でも不信に思うのではないでしょうか?ただ、私は解体をやったわけではないから、意外と簡単にことが運ぶのかもしれません(笑)。
どこかの番組で、死体を処理するのに女性の場合は、解体することが多いと言っていました。その根拠は、解体すると小さくなるので、女性の力でも運べるのだそうです。でも、どちらにしても気持ちの悪い作業です。邦子が肉を食べられなくなったのはわかる気がします。4人の中では、一番邦子が人間らしい(弱い人間)のかもしれません。
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