病む月

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唯川恵<病む月>


 

唯川恵<病む月>の中にある、<雪おんな>を読みました。30分で読めるから快適です(笑)。古都金沢、雪、着物の似合う女、ホテルのバーでの出会い、映画のシーンのように目に浮かんできます。彼女の作品は<いやな女>と2作しか読んでないけど、<強い女性>(度胸が良いといった方がいいかな)が気持ちいいです。結果として裏切られたりして、落ち込むけど<そんなことでは、私は負けないよ>という声が聞こえてくるようです。一年に一度の逢瀬のために生きる<ゆき>。妙子は本当はそんな生き方がしたかったのでしょう。

 人を好きになると重くなるもの。それを負担に感じるのは訳ありかな?普通は好きな人から一途に愛してもらえるほど、幸せなことはありません。

 

唯川恵

の「病む月」を読み終えました。<玻璃の雨降る>が良かったです。ガラス工芸家として世に出るために援助のほしい聡子に、週1〜2回抱くことを条件に援助を申し出る初老の男。死期を悟った男の取った行動は?男の真の愛情を見せた最後の<落ち>は見事です。玻璃の雨(はり)とは、ガラスのような雨のことです。深い意味のある題名です。

 

唯川恵

の<病む月>という短編集の中に<天女>という短編がありました。主人公の加寿子は、中学を卒業と同時に家出をし、男と知り合うたびに水商売を渡り歩いて、最後にはソープに流れ着きます。そこで、知りあった超真面目で堅物の40男にプロポーズされ、夢みた結婚をし、平凡な生活を送っていました。そんなある日、ひもである元彼に再会し、だまされるとわかっていながら、元彼との刺激を求めて、平凡な生活に終止符を打つ話です。

 

 彼女は男と知りあうたびに、男に貢ぎ店を変わり落ちて行きます。最後はソープ嬢になるわけですが、客から「汚れた女のくせに」といわれます。そんな「汚れた女」でも良いと行ってくれた男との結婚生活。単調な繰り返しだけど安定した生活が、元彼の出現で破綻します。

 

 そんな彼女が「汚れた女」と言われた時に、頭に浮かんだ言葉が印象深く残りました。「一人の男と百回寝るのは許せても、百人の男と1回ずつ寝るのは許せない」同じ100回なのにどうして?そんな彼女の悲しみがこもっているような気がします。

 

 これが気になったのは、性に対する男と女の意識の違いを強く感じたからです。男は何人の女性と寝ても<汚れた>とはいわれません。それどころか、男の中では英雄扱いです。逆に、一人の人しか知らないのは、身持ちが堅いとはいわず、バカにされます。女性と全く逆ですね。これはどこからきたのでしょうか?性の開放が言われていますが、このような意識は根本的には変わっていない気がします。汚れる汚れないは、本人の意識の問題。でも、それが割り切れないのが女性なのかもしれませんね?

  

 

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