あらすじ 詳しい筋と感想 私の考える映画のテーマ 映画の目次へ
グッド・ウィル・ハンティング -旅立ち- 《1997 米》 GOOD WILL HUNTING | |
平成12年7月22日 2回目見る | |
監督:ガス・ヴァン・サント | 音楽:ダニー・エルフマン |
脚本:ベン・アフレック、マット・デイモン |
あらすじ
この作品は、数学の天才的な能力を持つが、トラウマのため心を閉ざした青年と最愛の妻を亡くし、生きる気力をなくしたセラピストの友情と旅立ちを描いた、感動の人間ドラマである。 まず、この脚本がすばらしい。マット・デイモンは、ハーバード大時代にこの映画の脚本を手がけ、親友のベン・アフレックと共に2年の歳月をかけて完成させた。そして、この二人が脚本を持ち込み、映画化にこぎ着けた。マット・デイモンは、この脚本を書き、その後俳優になるために大学を中退した。彼は、この脚本( 97年度アカデミー賞脚本賞を受賞)と主演で一躍有名になった。この作品は、97年度のアカデミー賞の9部門にノミネートされ、脚本賞と助演男優賞(ロビン・ウイリアムス)を取った。この年は、タイタニックとLAコンフィデンシャルが対抗馬であった。ボストンのダウンタウンに住む、ウィル・ハンティング(マット・デイモン)は、孤児で里親に受けた虐待が原因で、心を堅く閉ざした青年であった。彼には親友のチャッキー(ベン・アフレック)がいて、仕事が終わると仲間のモーガン(キャセイ・アフレック)、やビリー(コール・ハウザー)と一緒に、酒場に入り浸る生活を送っていた。そんなある日、ハーバード大の女学生スカイラー(ミニー・ドライバー)と知り合い、デートを重ねるうちに恋に落ちた。しかし、現状の閉塞感や荒れた気持ちを押さえることが出来ない彼は、その気持ちを何かにぶつけるように、障害事件を繰り返し起こし、裁判所や警察のやっかいになっていた。そして、その仮釈放の条件として、 MIT大の清掃員のバイトをしていた。MIT(マサチューセッツ工科大学)大のランボー教授は、フィールズ賞を受賞した数学の権威であった。彼は、数学の難問を廊下の黒板に書き、学生達に挑戦させた。しかし、理工系の最高峰ともいえるMITの学生でも、その問題をだれ一人解く者はいなかった。しかし、ウィルはそれを簡単に解いてしまった。実は彼は学歴こそないが、数学に掛けては天才的な能力をもっていたのだ。この問題を解いたのは誰だとの犯人探しが行われたが、結局見つからず、再度、より高度な問題が出された。この問題を夜バイト中に解いていた彼を見つけたランボー教授は、彼を追いかけるが逃げられてしまう。そのことで職を失ったウィルは、幼稚園時代のいじめっ子を叩きのめしてしまう。再び起訴された有罪を言い渡された彼の元に、ランボー教授が保釈の条件を携えて来る。一つは、一週間に一日数学の問題を解くために教授の部屋にくること、そして、もう一つは一週間に一日カウンセリングを受けることであった。後のないウィルは渋々受ける。数学のパートナーは順調にいくが、カウンセリングはウィルの抵抗にあってうまくいかない。どうしても心を開かせ、自分の協力者にしたいランボー教授は、最後の手段として、同窓のショーン・マクガイア(ロビン・ウィリアムス)に依頼する。彼らはお互いの生き方を巡って反発していたが、ウィルの心を開かせる目的に向かって協力する。 スカイラーは、ウィルの両親や兄弟に会いたいと願うが、かたくなにウィルは拒否をする。自分の心開かず、自分を受け入れてくれないウィルの態度に、いつしか愛に疑いを感ずる。その疑いをはらすように、彼にカルフォルニアに一緒に来て欲しいと言う。しかし、今の彼にはそれは出来なかった。 ウィルとショーンのカウンセリングは、紆余曲折があったが、少しずつお互いに信頼関係が生まれ、友情が芽生えていった。同じトラウマ(父親の虐待)を抱える二人、ショーンの『お前は悪くない』の繰り返しの中で、涙を流し心を開くウィル。 二人の旅立ち、ショーンはもう一度勝負をするために外国旅行へ、ウィルはボストンでの就職を捨て、彼女の待つカルフォルニアに旅立っていく。 |
詳しい筋と感想
◎ ウィル・ハンティング(マット・デイモン)の演技も良かったが、親友のチャッキー(ベン・アフレック)も良かったが、二人の関係は男の友情、男の友達のあり方の原型を見るようだ。 ◎ 孤児で恵まれない環境のため、大学に行けないが、数学の能力は天才的なウィルは、度重なる暴力事件の仮釈放職業プログラムの一環として、 MIT(マサチューセッツ工科大学)の清掃員をしていた。◎ 数学のランボー教授(ステラン・スカルスゲールド)は、フィールズ賞(数学のノーベル賞といわれる賞で4年に一度選ばれる)受賞者で、自分の能力と出世にやや自信過剰気味な高慢な教授。彼は、自分の能力の高さを学生達に思い知らせるために、廊下の黒板に数学の高度な問題(大学の教授でも難しい)を書いた。それを、学生達に挑戦するように命じた。 ◎ その問題を MITの学生は誰一人として解くことは出来なかったが、ウィルは夜中に清掃のついでに簡単に解いてしまう。翌日大学ではそれを誰が解いたか大騒ぎになるが、結局、誰がそれを解いたかわからなかった。そこで、ランボー教授は、新たにより難しい問題を廊下の黒板に書いた。夜中、偶然教授は、それを解いている(最初落書きをしていると思った)ウィルを見つけるが、かれは一目散に逃げ、清掃員の仕事も辞めてしまう。 教授は、彼のことを調べ上げ、ウィルの数学の天才的な能力を見抜き、自分の協力者(最初は、うまくウィルを利用をしようと考えていたと思う。)にしようと考える。◎ ウィルの無軌道ぶりは、偶然町で見かけた、彼の幼稚園時代ののいじめっ子を路上で何の理由もなく殴ってしまう。そこには、彼の友達も参加しての大乱闘。ウィルの殴り方は尋常ではなく、そのまま警察の止めがなければ殺してしまうのではと、思えるほどで、彼の荒んだ心を垣間見る思いであった。この大乱闘のため逮捕され警察へ行き、起訴されて裁判になる。この裁判のシーンで、彼がどれだけの事件(ほとんど暴力行為)を起こしてきたかがわかる。今までは、これらの暴力事件も、彼が自分で自分を弁護して(過去の判例を巧みに持ち出し)不起訴にしてきた。しかし、今度の裁判官はそれを認めず、彼に有罪を言い渡す。 ◎ このことを知ったランボー教授が留置場にいるウィルのもとを訪れる。彼はウィルの保釈の条件として、ウィルが教授の部屋に週一回通って数学の問題を解くことと、週一回セラピストによるカウンセラーを受けることの2つを提示した。最初は渋っていたが、後のないウィルは教授の申し出を受け、保釈が決まった。 ◎ 保釈の条件、数学のパートナーの方は順調に行くが、カウンセリングは難航する。ウィルが、カウンセラーを馬鹿にするから、誰もやりたがらない。考えあぐねた教授は自分の同窓であるセラピストのショーン・マクガイア(ロビン・ウィリアムス)に頼む。その時、心理学の授業中であったショーンが『カウンセリングで最も大切なことは……』の質問をし、それに対して、『患者との信頼関係です』と答えるシーンがあるが、これが、この映画に触れる言葉だと思う。 ◎ ランボー教授は、ショーンの能力の高さを知っている。彼も自分のようにすれば、もっと世に出られる。今までもチャンスはいくらでもあったのに、それをあえてつかまない彼の姿勢、消極的な生き方を批判していた。また、逆に、ショーンは自分の出世に人を利用することばかり考え、威張っているランボーを嫌っていた。 ◎ 最初のカウンセリングの時、ウィルはショーンを、今までのセラピストと同じく馬鹿にする。彼の書いた絵を糞味噌にけなすばかりか、かけがえのない妻まで馬鹿にする。このことに憤慨したショーンは、夜を徹して考える。そこで、ショーンはウィルが経験がなく、書物の知識だけしかないガキであることを知る。川辺のベンチに座り、ミケランジェロの絵については、書物の完璧な知識でこと得ることが出来るが、その絵が飾ってある礼拝堂の臭いは答えることは出来ないだろう。それは、礼拝堂に行った経験がないからだと彼に告げる。そして、カウンセリングの方針を、徹底的にウィルが、自分の意志で自分の言葉(書物の知識ではなく)をしゃべるまで待った。沈黙だけでカウンセリングの時間は過ぎた。 ◎ ショーンの奥さんを愛する気持ち、確か癌で入院している間、常に手をつないでいた。(病院は認めざるを得なかった、彼の情熱に負けて……)と彼が言ったが、このこと一つでも彼がいかに妻を愛していたかが伺われる。それほど最愛の人(自分の一部)を失えば、他の女性を愛することができなくなるのだろう。彼の言葉、彼女以上の人はいない。彼女の思い出だけで十分である。ショーンも新たな一歩を踏み出すのに躊躇していた、これは、ウィルと同じだ。 ◎ 彼女とのことでは、一つも後悔はないと言い切るショーンが、彼女との出会いをウィルに語る。ワールドシリーズの切符を友達からもらい、一緒に見に行く途中に寄ったレストランで偶然彼女と出会う。彼女のあまりの美しさ一目惚れした彼は、ワールドシリーズを見に行くのをやめて、彼女と一緒にいるためにその店に残った。この話をショーンがするとき、ワールドシリーズの様子を球場で見てきたように興奮して語るシーンがある。(後でそれはテレビを見ていたことが分かるが)ウィルも一緒に興奮して語る。それほどのビッグゲームのチケットより彼女を取った。この話は、最後彼が就職という切符を捨てて、彼女を取るためにカルフォルニアにいくにのに結びつく。 ◎ カウンセリングをするかたわら、ハーバード大のスカイラー(ミニー・ドライバー) とデートを重ね、いつしか深い関係になる。彼女は父親の遺産でハーバード大を出たあと、カルフォルニアの医大に行くことになっていた。何事にも、一歩踏み出すことに躊躇するウィルは彼女との関係でも、踏み出すことができない。 ◎ スカイラーはほんとにウィルを愛していることがわかる。彼が、自分との関係で、学歴やお金にこだわるのに対して、「父が一日でもいてくれたら、遺産は全部いらない」というように、彼女は、学歴や仕事、お金にこだわらない、心の開けた女性である。彼女は、完全でない彼でも愛していた、そのため、彼の本当の姿を捜している。両親や兄弟に会いたい、友達に会いたいというのも彼を知りたいが故である。おそらく彼女は彼が孤児であることがわかっても愛を変わらないと思う。それに対して、ウィルは自分の本当の姿を見せたくない、それは、今までの経験から、人がそれを知ると愛されないこと知っていたからである。ウィルの心を開けたのは、スカイラーの影響が大きいことは確かである。 ◎ ウィルとショーンの信頼関係が決定的になったのは、ランボー教授とショーンがウィルのことで真剣に討論し、それをカウンセリングに来たウィルが偶然聞き、ショーンが自分のことを本当に思っていてくれることがわかった時みたいであるが、長いカウンセリングの間に徐々に信頼関係を受け入れる土壌ができていたのだろう。 ◎ ここで、ウィルとショーンの父親による虐待の話が出る。ショーンは母と弟をかばうために、進んで父親の目を自分に向けさせ、折檻をうけた。また、ウィルは孤児であり、里親に日毎折檻された。それもスパナで殴られていたとは並大抵の暴力ではない。このトラウマ(心的外傷)をショーンは、『自分は悪くない』という言葉で彼を慰める。この言葉を何度も何度もいい、彼がたまらなくなって号泣するシーンは特に印象的だ。『自分は悪くない、自分には責任はない、親が悪いんだ。』これを、誰かの口から言って欲しかった。ウィルは、この言葉によって救われた。これによって彼の心は開かれた。 ◎ ラストシーンは印象的だ。彼女を追ってカルフォルニアに行く決心をした、ウィルがその前にショーンの家に手紙を持ってくる。そのころショーンは外国旅行の準備をしている。彼もこの旅でもうひと勝負する決心をしていた。手紙を読んだショーンは、『パクッたな』と言う。それと前後して、親友のチャッキーが、いつもの朝のように彼の家に迎えに来ていた、しかし、チャイムを押しても彼は出てこない。その時の彼のしてやったりといった得意の表情。車は一路カルフォルニアに向かって走っていく。 ◎ チャッキーがハーバード大生の溜まり場のバーで、ハーバード大生に成りすまして、女子学生をナンパしていた。そこへ、現役のハーバード大生がイチャモンをつけに来て、チャッキーはピンチになる。その時ウィルが現れ彼を救うが、書籍の上の知識で自分の考えのまるでない学生を、彼の圧倒的な読書量に裏打ちされた、知識で圧倒する。 ◎ 彼の知識はどこから来るのだろう?おそらく、一度本を読めばすべてが理解でき、さらに記憶してしまう特殊能力があるのだろう。彼の置かれた状況や孤児であり、大学の清掃員の仕事をやっていることなどから、高校を卒業した、または、卒業していないかもしれない、程度の学歴であろう。 彼の能力を不思議がった、スカイラーの質問に答えるように、『ピアノの弾ける人はピアノを楽器としてみるが、引けない人間にとってはただの箱である。自分は、数学に興味があるからできる』。と答えている。 ◎ 彼は、興味に任せてたくさんの本(あらゆるジャンルの本を乱読)を読み、それをまたたくまに知識に変えていった。それらを組み合わせ、そこから自分の理論を言うこともできた。しかし、ショーンが言うように、彼の知識は本の上の知識で、自分で体験したものではない。ミケランジェロの絵や教会堂を語ることができても、教会堂の臭いは語ることができない。なぜなら、体験をしていないからだ。 そういう意味では、バーで学生に書籍の上の知識ではなく自分の意見を言えと、説教するのは本末転倒であり、彼も全く同じことである。ほとんどのエリート達がそうしている。 ◎ ここに彼の欠点がある。経験がない、逆に経験を恐れている。経験すら書物から得られると錯覚している。孤児であるという環境から、経験をすることができなかった。また、幼児体験から、一歩踏み出すことに恐れをなしている。それ以上の人間関係を結ぶと、人に嫌われる。うまくいかないし、人を傷つけてしまう。だから、それ以上の関係に行かないように、徹底して予防線をはる。 ◎ 主人公ウィルは、ハーバード大生を徹底的に馬鹿にする。学歴はなくてもお前らより、数段知識の上の人間がいるんだ。しかし、その反面、いくつかの仕事があるのに、わざわざ電車に乗って、MITの清掃員をしている。彼は気づいていないかもしれないが、知的な人間になりたい願望みたいなものが、せんざいてきにあり、大学の仕事に就いているのだろう。そこには、何かのきっかけがあればと密かに思っていたのかもしれない。 ◎ スカイラー、美人ではないが個性的で知的な演技が良い。エリートでありながら、ウィルの仲間とセックスジョークを言える程の仲間づきあいもできる。ウィルをハーバード大生ではなく選び、彼の魅力と能力を知り愛していく。彼の家族を知りたいと思うが(彼を結婚の対象と考えている証拠)、彼は真剣にそれに答えてくれない。(彼には、答えられない事情がある) そんなある日、カルフォルニアに医大生となるため行くことが決まり、彼に一緒に来てほしいと頼む。しかし、彼は踏み出すことに躊躇をする。泣きながら彼のことをあきらめる彼女の演技真に迫っていた。ほんとにウィルが好きなんだ。それなのに、彼女が別れる決心を付けるため、「嫌いだと言ってほしい」と言わると、ウィルは「嫌いだ」と答える。 ここは、スカイラーもつらいけど、ウィルもつらかっただろう。どんなに、自分の過去を悔い、自分の環境を呪ったことか。彼はまだ心が開かれていない。 ◎ 彼女の頭の良さは、彼とのデートのシーンでよくわかる。最初のバーでの出会いで、彼に自分の電話番号を渡し、電話してくれたらコーヒーぐらい付き合うと言って出ていく前に、『いつまで待たせるの。いつ来てくれるかと今まで 50分も待っていて、もう待ちくたびれてしまった』というせりふはなかなかセンスがある。また、最初のデートで二人でハンバーグを食べながら、二人で会話するシーンがある。そこで、彼女が彼に『次はどこに行って、何をしようかとか考えてるんでしょう。例えばそこでキスをしようかとか?』それに対して、そうだと答えた彼に、『それなら今しましょう、時間がもったいないから……』と、彼に彼女からキスをする。◎ 彼の友達、親友のチャッキーやモーガン(キャセイ・アフレック)、ビリー(コール・ハウザー)の4人は常に一緒である。この中の一人が、常にどじをやり、みんなから馬鹿にされているが、基本的に仲のいい友達である。その証拠に、ウィルの就職が決まったときに、それぞれが力を合わせて、手作りの車を送っている。 ◎ 特に、親友のチャッキーは、ウィルが大学の廊下にある黒板の数学の問題を解いている所ランボー教授に見つかり、職をなくすと、自分の仕事である解体業を彼に紹介する。そして、いつも朝、彼が自分の車で彼の家まで迎えに来る。 ◎ 彼女がカルフォルニアに行き、ウィルが彼女と別れた後のある一日、解体作業が終わり、コーヒーを飲みながら休憩をしている時、チャッキーは、能力を出し惜しみし、いじけている彼に向かって、「このまま 10年先までおれが解体業をやっていても、そりはいい、しかし、お前がそれをやっていたら、ぶん殴る。それは、お前は、宝くじの当たり券を持っているんだ、それを換金しなければいけない。それがお前の義務だ。おれは、お前を誇りにしてきた。いつも、お前の家に迎えに行き、チャイムを押してお前が出てくる10秒間が好きだ。なぜなら、いつかお前がどこかに行き、出てこないのではとということを期待して。」 |
◎ カウンセリングで大切なことは、カウンセラーと患者との人間関係である。お互いの信頼関係の上に始めて心が通じ、心が開かれる。そして、映画では「君は悪くない」という言葉がキーとなっている。これは相手を理解し、相手を認める言葉である。この関係さえ出来れば、何も医者と患者にこだわる必要はなく、親子でも、恋人でも、友人同士でも同じことだ。出来れば同じ傷も持った者から、信頼され、理解され、認められるとき心が開く。 ◎ 仕事や地位や名誉より愛の方が大切であることを教えてくれた。ショーンはワールドシリーズのチケットよりも妻を、ウィルは大企業への就職より彼女の待つカルフォルニアへと旅立つ。この映画のサブタイトルが旅立ちであるが、これは、ウィルの過去の自分に決別をし、新しい自分への旅立ちであるとともに、死んだ妻の亡霊から自分を解き放つためのショーンの旅立ちでもある。 ◎ 大きなテーマはこの2つだと思うが、もう一つ感じたのは、『書物の知識だけではなく、経験を、人の考えではなく、自分の言葉を言うことが大切である』。との指摘である。現代人は、本の知識(人の考え)を重視し、自分で経験したり自分で考えることを避ける傾向にある。程度の差はあるが、現代人は誰でもウィルのような存在だ。自分はそのように以前から気をつけているが、映画や本の文章を書くことになってからは、特に自分の考え、自分の言葉で表現することを心がけている。 |