アメリカンビューティ

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アメリカン・ビューティ h12

監督:サム・メンデス

出演:ケビン・スペーシー(レスター・バーナム 父親で娘の同級生に恋をする) アネット・ベニング(キャロリン・バーナム 母親でキャリアウーマン、不動産屋と不倫する) ソーラ・バーチ(ジェーン 高校生の娘で隣人の青年と恋に落ちる)

アカデミー賞:作品賞、監督賞、主演男優賞、オリジナル脚本賞、撮影賞を受賞

 

 
  主人公の夫は死んでいた。いや死んだも同然と言った方がいいかもしれない。自分の意に添わない人生を生きているという限りは……。それは、妻も同様だった。夫婦には一人娘がいた。高校生である。彼女はチアリーダーをしていて、そこへ夫婦で応援に行く。それは、子供へのごますりだ。機嫌取りである。夫は娘とほとんど口を聞かない。関心がない。しかし、そこにも妻の強引な誘いがなければ行かなかっただろう。夫婦ごっこ、家族ごっこをしている。見かけだけの理想の家族を演出する。しかし、そこで彼の見たものは、美しく(セクシーな)魅力的なブロンド娘だった。彼女の踊りに目が離せなくなり、夢中になって見つめていた。それが何と娘の大親友だった。父の体をなめ回すような目線に気が付いた娘は、父を汚らわしい生き物のように扱う。そして、ますます親子の溝は深まっていく。しかし、その反面父はそれによって生き返る。生きる目的を見つける。彼女のことばかり考えて、一人楽しい気分に浸っている。彼女のイメージは、アメリカンビューティ(深紅の薔薇)である。ある日、彼女が娘の部屋に泊まりに来た。そこで、盗み聞きしたことで、父親の性の対象と考え、後体を少し鍛えれば抱かれても良いと聞く。その日から、ガレージを改装し簡易のトレーニングジムを作る。そこで、日毎体を鍛え、裸になり、一人悦に入っていた。彼は、会社を辞めるにあたって、会社を強迫し1年分の給与を取った。そして、自分のほしかった車を買い、責任のない、ハンバーガーショップの店員になった。また、隣の息子から、マリファナを買い、トレーニングの間に吸って、気分をハイにしていた。このように、自分の好きなように行くようと決心した彼は、妻にも遠慮をしなくなった。それもこれもすべて、彼女の性だった。

 彼の妻は不動産の営業をしていた。負けず嫌いな性格で何としても不動産で一人立ちしたいと想い、一生懸命努力していた。しかし、思うように成果を上げられず、自分がなさけなくて涙することもあった。彼女は、仕事に生きがいをもち、向上心のない夫に愛想を尽かしていた。この夫婦セックスレスになってずいぶんと経つ。兼ねてから憧れの不動産王に優しい言葉をかけられ、ベットを共にする。そこでストレスを発散する。しかし、この不倫も夫にばれてしまい、不動産王が去っていく。

 彼らの家族の隣には、退役軍人(大佐)の一家が住んでいた。そこの一人息子は、ビデオが趣味で彼にとっての美しいものを取っていた。彼にとっては、風に舞うビニール袋さえ、そのは以後に美があると考えていた。彼は、娘が気に入って娘のビデオを撮っていた。彼は、娘の学校に転校してきた。彼を娘は気に入る。彼は、麻薬のやりすぎで病院に入っていたことがあり、父親は今もそのことに注意をしていた、定期的な入検査をするが、それは、他人の尿でごまかした。今は、薬の密売をしお金を稼いでいたし、自分でも副作用のないものを吸っていた。大佐はホモを極端に嫌っていたが、実は自分がホモであった。そのため、妻は形ばかりのもので、人形のような存在、魂のぬけたような母親の表情が印象的だ。この一家の方がある意味では問題のある家族だ。

 娘は、物思うティンエージャーで、典型的な思春期の高校生。親に反抗し、親をうざったいと思っている。口を聞かないし、めんどうだし、干渉されたくないと思っている。父親が自分の同級生に色目を使うことを極端に軽蔑する。しかし、決して頭の悪い子ではなく、健全な考え方をしている。隣の青年の良さを正しく見ることができる。悪ぶるって見せたい年頃である。隣の青年と親を捨て、駆け落ちすることに同意する。

 娘の親友は、好奇心旺盛で、人の注目を浴びることが大好き。彼女の大人びた魅力は同じ年代の男には刺激が強すぎ、遠慮する。(自分なんかという気持ち)だから、口では何人もセックスの経験があるように、言っているが(そうしないと彼女のプライドが許さない)実は、処女である。そのことを、最後の方で、スペーシーに抱かれるときに告白する。意外な彼女を見て、スペーシーが戸惑う。しかし、うれしい。

 最後は、意外な結末となる。

 

 


 それぞれのビューティ。美の価値観とも言うべきものの違い、父は、自分を押さえ、偽って生きていくことからの解放。好きなように生きたいと願う。娘と同級生の少女に恋をし、抱きたいと思うのは、今までの彼には考えられないことである。抑圧されたものからの解放。妻、会社、ドラッグ、情欲。

 妻のビューティは、仕事で成功すること。やりがいのある仕事をする。世に出る。世間に認められること。積極的、前向きに頑張ることが大切。出世したいと真から願い、そのために努力をする。そのため、夫婦仲が良くなければならない状況であれば、それを演じる。夫婦関係や家族も仕事のためのパフォーマンス、手段の一つと考えてる。完璧主義者で、完璧をめざす。食卓、音楽、テープ、自己暗示

 隣人の青年は、風に舞うビニール袋が一番美しいと言う。また、死んだ鳩、娘に美を感じ、ビデオを撮り続ける。しかし、アンジェラには美を感じない。彼の範疇ではない。真の審美眼を持っている。ドラッグの売人で稼いだり、ドラッグをやっていることを父親に隠している。表面的には父親に従う振りをしている。暴力にも無抵抗である。一見ストーカーにも見え、不自然であるが、最も健全な青年かもしれない。

 アンジェラは、人にちやほやされることが大好きで、目立ちがり、憧れの女の子でありたいと、そのみえのために、生きている。しかし、性の経験は全くない。なぜだろうか?男が敬遠するからか?自分では役不足であると、

 アメリカンビューティは、妻が丹念に育てている薔薇の品種のことである。映画の冒頭で、薔薇づくりに精を出す彼女、何かを暗示しているようだ。

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