フィラデルフィア

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フィラデルフィア 1993年アメリカ映画 h13.3ビデオ

監督:ジョナサン・デミ(羊たちの沈黙)

出演:トムハンクス、デンゼル・ワシントン、アントニオ・バンデラス

 

 
  フィラデルフィアで一流の弁護士事務所に勤める、優秀な弁護士(ハンクス)は、エイズを理由に事務所を解雇される。そして、その不当解雇を撤回させるために、訴訟を起こす。会社側は、エイズを理由とした解雇とわからないように、ある策略を巡らす。それは彼をまず上級弁護士に昇進させ、会社にとって大事な訴訟を任せる。その訴状を計画的に隠し、さも不注意で彼が置き忘れたように、締切間際に見つける。それによって、彼の業務能力が劣っているようにみせ、これによる解雇であると会社側は主張した。

 彼は、ホモで同棲している男(バンデラス)がいる。そして、彼がエイズに感染したのは、有名なホモが集まる映画館であった。彼がホモでエイズに感染していることを家族は、みんな知っている。知っているばかりでなく、暖かく見守ってさえいる。この暖かい家族関係はすごい。両親だけでなく妹や親類も全員彼のことが好きで応援している。不思議な家族であるが、彼はある意味では幸せ者である。

 この弁護を引き受けたのは、黒人の弁護士(ワシントン)である。彼は、ホモではない、それどころか、ホモが大嫌いだった。ホモには偏見の固まりだったし、エイズについても、皮膚感染をすると間違った知識しか持っていなかった。しかし、この裁判の弁護をすることで、その偏見は消え、ホモは嫌いだけど、権利は認めるべきという考え方になった。

 裁判の争点は、会社が彼をエイズだと知っていたかにかかっていた。重役の一人に、元の会社でエイズの女性が秘書であった男がいた。彼は、彼女の顔の痣からエイズだとわかる知識があった。これが決定打となり、裁判は会社側の不当解雇を認め、200万ドルの賠償金を支払うことを命じた。しかし、裁判中に彼は倒れ、病院にかつぎ込まれた。そして、家族の介抱もむなしく死んで行った。

 

 


◎ エイズ患者の役を、トム・ハンクスが自分の体(ダイエットとして)を使った、迫真 の演技力で演じていた。徐々にエイズに侵され、やせて死んでいく過程がリアルに描かれていた。やはり、アカデミー主演男優賞をとるだけのことはある。

◎ 賠償金は、福祉施設に寄付した彼にとって、お金が目的の裁判ではなかった。エイズ で死ぬまでの間、やりがいのある仕事をしたかっただけである。そのため、彼の生きが いを奪った会社がどうしても許せなかった。

◎ 家族の暖かい励まし、愛、偏見のない接し方は感動ものである。こんな家族が作れた らとあらためて思う。死ぬときまで愛に包まれた彼は、幸せ者である。

◎ この映画は、エイズや同性愛者を含む差別問題を扱ったものである。「フィラデルフ ィア」はギリシャ語で「兄弟愛」のことである。トムハンクスはこの演技でアカデミー 賞の主演男優賞をとったが、デンゼル・ワシントンの演技もそれに負けず素晴らしかっ た。彼が裁判の時に頻繁に使う「6歳の子供にもわかるように説明してください。」と いう言葉は印象深く残っている。

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