街の灯

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街の灯(CITY LIGHTS) h13.2(3度目の鑑賞)

監督:チャールズ・チャップリン 1931年アメリカ映画(無声映画)

出演:チャールズ・チャップリン ヴァージニア・チェリル

 


 1930年代(大恐慌の時)のアメリカが舞台。浮浪者(チャップリン)がある日、美しい盲目の花売り娘(チェリル)と出会う。偶然が盲目の彼女に、浮浪者を金持ちと勘違いさせてしまう。彼女は、貧しく母と二人で、花売りで生計を立てていた。その日暮らしで、家賃さえためて払えなかった。これに同情し、いつしか娘を愛していた浮浪者は、道路清掃の仕事を見つけ、その給料を全て渡すのだった。彼女に夢中な浮浪者は、昼休みごとに彼女に会うために彼女の家に行った。そのため何度も遅刻をし、ついに清掃員の仕事を首になってしまう。そこで、気落ちした彼は、ボクシングの八百長に誘われる。怖いけど彼女のためにお金を稼ごうと決意する。このボクシングシーンは、有名である。チャップリンの本領発揮と言った所である。思いもよらぬ強い男と戦うはめになって、さんざんな目にあう。普通は、それでこりる思うが、それでも、彼女の目の手術に大金がかかると聞くと、彼女のために何とかしてやろうと必死で考える。(きっと人を本当に愛すると、こういう気持ちになるのだろう?)

 ある日、浮浪者は海で自殺しようとする、泥酔した金持ちの男を助ける。恩に感じた金持ち家に連れて行かれ、大歓迎を受ける。この金持ちの男は、泥酔している時は、浮浪者のことを恩人としてよく覚えているが、酔いが醒めるとそのことをすっかり忘れてしまい、浮浪者を家から『叩き出してしまう』そんな困った男である。こんな天国と地獄のような状況を何回も繰り返していたが、ある日、彼が泥酔している時に彼女の目の手術のことを話すと、快く手術費を出してくれた。喜び勇んだ浮浪者は、それを彼女に渡すが、酔いが醒めた金持ちから泥棒扱いされ、牢屋に入れられる。しばらくして出所した浮浪者は、立派な花屋のショーウィンドー越しに、彼女(花売り娘)に再会する。彼女は目が見えるようになっていることに気が付いた浮浪者は、自分は彼女のそばにいるべきではないと直感し、その場から逃げようとする。その時、執拗にウインドー越しに、自分を見つめる浮浪者に同情した彼女が、お金と花を渡そうと近づいてきた。見つめ合う二人に沈黙の時が流れる。そして、彼女はその人が誰だか気が付く。このシーンは最大の見せ場であり、涙なくしては見られない。

 


◎ 愛する女性のために、自分の立場も考えず、ありったけの施しをしてしまう。そして、その代償を求めようとしない。ここに究極の愛の形がある。愛する彼女と会う時の、浮浪者のはにかんだ、照れくさそうな顔が何とも可愛い。

 また、目が見えるようになった彼女が、自分の恩人を忘れずに、その人がみすぼらしい格好の人でも、それに報いようとする姿勢はすばらしい。

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