昼顔

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 昨日の土曜日は、レンタルしてきた「昼顔」というフランス映画を見ました。この映画は1966年に上映されたもので、私は高校1年生の時に映画館で見ました。その当時は、フランス映画全盛の頃で、今のようにハリウッド映画一辺倒ではなく、バライティーに飛んだ、映画界の戦国時代とも言える時期でした。私は蒲郡市に住んでいましたが、その近くに日活の映画館があり、そこのビラ下(映画のポスターを貼ると、ただの入場券がもらえる)を、定期的にもらえた(母は外向的で、近所の人気者であったから、その店の人からいつももらっていた)ので、それを使って、日活の映画館へ月に2回は行っていました。

 日本映画はほとんど見なかったけど、そこは日活がかかっていないときは、洋画をやっていたので、洋画を選んで見に行っていました。そのころはフランス映画が全盛の頃で、アランドロンやジャンポール・ベルモンドやブリジットバルドーなどが活躍していましたが、私はその中でカトリーヌ・ドヌーブの大ファン(気高い美しさに惹かれた)であったので、彼女の作品が上映されれば必ず見ていましたが、その中の作品の一つがこの「昼顔」です。

 当時は高一ということでこの映画の真の意味が分からずに、エロチックで何とも幻想的な雰囲気の映画であったことしか覚えていませんでした。そこで、いつかもう一度見て、どのような映画であったかを確認しようと思っていました。

 あらすじは、第2次世界大戦後のフランスが舞台。医者の貞淑な妻であるセブリーヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)は、最愛の夫と、何不自由のない幸せな結婚生活を送っていたが、性的には満たされないものを持っていた。愛する夫とのセックスは心から楽しめるものではなく、そこから快感を得ることはできなかった。夫からは性の未熟からの不感症だと思われていたが、彼女の隠れたセックス願望はアブノーマルなものであり、妄想は膨らむばかりであった。ある日、自分に言い寄る男から、秘密クラブ(売春宿)があると聞き、それに強く惹かれた。そして、迷いながらもその店を訪ね、自分を雇って欲しいと願いでた。

 午後の2時から5時までしか店にでないことから、源氏名を「昼顔」と名付けられた。上品で美人のセブリーヌは、最初こそとまどいがあったが、次第に心を開き大胆になって、人気ものとなる。そしていつしか店のナンバーワンになる。でも、店に出ていることは一切秘密にしていたので、夫や友人には全く気づかれていなかった。

 そんなある日、やくざな若い男が店に来てセブリーヌを気に入り、自分一人で彼女を独占しようとする。彼の若くて激しい情熱に彼女も惹かれていくが、あまりに強い独占欲に、今の生活が壊される危険を感じた彼女は、突然店をやめた。すると、怒り狂ったそのやくざは家まで押し掛けて、自分との仲を戻さないと主人にばらすと脅す。しかし、脅しがきかないと思った男は、夫を銃で撃ち瀕死の重傷を負わせる。男は逃げる途中銃撃戦の末、警官に殺され、夫は下半身不随で車椅子生活を余儀なくされた。その夫を彼女は献身的に介護する。

 映画を見たのが高一の時だったので、上流階級で金持ちの、それも美人の奥さんが何で売春をしなければならないのか?それが一番の疑問でした。でも今は、分かるような気がします。人間は、金銭的に豊かであれば、それだけで満たされるような、単純なものではありません。それから、SMという言葉が今ほど一般的でなかったし、それに対する知識が足りなかったので、秘密クラブに来る客がどれも変態(今なら分かる気がする)であり、そんな人間がいるの?と思っていました。今回もう一度見直して、この映画の意味するところ(人間の性の不思議)が少しは理解できた気がします。やはり、大人になったのかな?それにしてもこの映画を高一で理解しろと言うのは無理ですね。それがよくわかりました。

 

 

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