カイロの紫のバラ
30年代のアメリカの田舎町が舞台。働かずギャンブルと浮気を繰り返し、時には暴力さえふるう夫を、ウエートレスなどをして養っているシシリア。こんな夫と何度も別れようとするが、土壇場になって踏ん切りがつけられない。シシリア(ミア・ファロー)の唯一の楽しみは映画館で映画を見ること。大好きな映画なら、何度も何度も映画館に足を運び、画面に食い入るように見つめる。その時も「カイロの紫のバラ」を見るのは5回目だった。その時突然スクリーンの中から、トム・バクスター(冒険家の役)が飛び出して、シシリアに恋をしたと話しかける。 映画好きの人が願う夢を実現した映画です。ウッディアレンの作品は始めて見ました。有名だから名前は知っています。天才だと言われているから、一度は見なければと思っていたけど、何か難しそうなイメージがあって引いていた自分がいました。これをきっかけに彼の作品を少し見てみたくなりました。この作品はある番組で爆笑問題の太田が、大絶賛していたので見たいと思いました。 スクリーンの中の<虚>、スクリーンの外の<実>、この虚と実が入り乱れてドラマが展開します。この混沌は今の世の中を象徴しているようです。どこまでは虚像で、どこまでが実像かわかりません。シシリアが言った言葉「今まで一度ももてたことないのに、同時に二人の同じ人から愛されるなんて……」が印象に残っています。結局彼女は、<実>を取りそれにかけたのですが……、現実は厳しかった。虚の中にこそ実があった、それに気がついた彼女は、映画という<虚>の中に戻ります。 |