マイノリティレポート

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 3時間近い映画でしたが、最初から最後まで飽きさせずに楽しませてくれました。特に映画は最初の引きつけが大切です。昼過ぎの眠たい時間帯は、最初がだらーんとしたものだと、少しずつ眠気が襲ってきます。この映画は、最初に飛び込んできた映像から刺激的で、何が一体始まるのかと期待を持たせてくれました。

 この映画のテーマは、「人間の意志で未来(運命)が変えられるか?」です。近未来(2054年のアメリカ・ワシントンDCが舞台)には、犯罪予知局によって、殺人が予知され、防止できるシステムが完成します。それによって、従来の天文学的な数字に上っていた殺人事件は0になります。そのシステムは、3人の超能力者の予知能力をコンピューターでイメージ化したものです。それによって、殺人が行われる以前に、その現場に警察官を送り込んで、殺人犯を逮捕することができました。そこでは、超能力者の予知は完璧で神のような存在でした。

 犯罪予知局のチーフ(トムクルーズ)は、このシステムを完璧なものと考え、その忠実な信奉者でした。しかし、あることをきっかけにして、3人が常に同じ予言をしているわけではないことを知ります。そして、調べるに従って、今まで一人だけの予知の時は「マイノリティ(少数意見)」として、人知れず破棄されていたことを知ります。3人の予言者にミスがあるなら、このシステムは完璧なものではないことになります。そこで彼は、その証拠となる少数意見が記録されたもの(マイノリティレポート)を探します。

 ここからは、映画の確信だからやめておきます。スピルバーグの描く近未来は、常にロボットと人間、無機質なものと自然なもの、合理性と愛、そんな対立する軸(悪と正義と言い換えても良い)で描いている気がします。そして、常に最後には、人間味・人間らしさ・愛が勝ちます。だから、彼の作品を見ると心が暖かくなって、見た後は爽快な気分になるのでしょう。「必ず最後に愛は勝つ」は、彼のメインテーマです。彼の作品を見て、面白くなかったものはありません、彼は映画好きの人の気持ちを理解できる天才です。

 この映画のテーマ「自分の運命は変えられるのか?」について考えてみました。

 私は38歳の時に、自分の人生に大きな願い事をしました。そして、それを実現できるように、心の中で強く願い、それに沿った努力をしてきました。(何を願ったかは、それが実現するまで、人に話すつもりはありません)

 それらの願い事は、今の段階では全ては実現していません。もし、願いが全て実現していれば、「自分の運命は自分の手で変えられる」と、胸を張って断言できるのですが、それができないのが残念です。

 ただ、願い事(夢、希望)はあきらめてしまわない限り、敗北をしたわけではありません。その実現に可能性が残っている限りは、チャンスはあります。「幸運はそれを受け入れる心の準備のある人の所へやってくる」と言われます。チャンスが舞い込んで来たときには、いつでも戦える準備だけはしておきたいと思っています。

 

 

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