OUT

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 しばらく前に、映画「OUT」を見てきました。この映画は桐野夏生のベストセラー小説を映画化したものです。10月の中旬くらいから、この映画を見ることを目標に読んで来ました。小説は、ストーリーの展開が奇抜で面白く、読みやすかったので、最近の私には珍しく、速いスピードで読むことができ、映画の上映期間に間に合うことができました。

 映画を見ることを目標に小説を読むことを始めたのは、「模倣犯」の時からです。その後「命」「OUT」と続きました。この方法の良さは、映画の上映に間に合わせるという、目標ができることです。人間がやる気を起こす方法の一つである「締め切り効果」を使ったものです。

 「OUT」面白かったですよ。2時間以上の映画でしたが、長さを感じさせませんでした。私はつまらない映画になると、前半で眠ってしまうことがあるのですが、この映画は一切そういうことがありませんでした。それよりも、何度も声を出して笑ってしまいました。怖いというよりも、女性(主婦)達のしたたかさや強さが印象的でした。

 主演の原田美枝子は「愛を乞うひと」の熱演で映画賞を総なめにし、演技力には定評がありますが、今回も期待通りのうまさでした。彼女のクールさがよく出ていた気がします。(監督は「愛を乞うひと」と同じ平山秀幸監督作品です。この映画「愛を乞うひと」は私のお薦めで、感動間違いなしです。是非機会があれば見てください)。

 それにしても、休日の午後なのに映画館にいたのは私を入れて4人だけ。他の洋画はごった返していたのに、日本映画には客が入らない。なぜなんでしょうか?映画のできは洋画と遜色はないと思うのですが…。日本映画だと、テレビドラマとあまり変わりませんからね。火曜サスペンスで「out」をやっているような感じ、それならわざわざ映画館に行く必要はない。身近すぎて、かえって興味を感じないのかもしれません。

 映画「OUT」面白かったです。2時間以上の映画でしたが、長さを感じさせんでした。私はつまらない映画を見ると、前半で眠ってしまうことがあるのですが、この映画は一切そういうことがありません。それよりも、何度も声を出して笑ってしまいました。怖いというよりも、女性(主婦)達のしたたかさや強さが印象的でした。

 主演の原田美枝子は「愛を乞うひと」の熱演で映画賞を総なめにしただけに、演技力には定評がありますが、今回も予想通りのうまさでした。彼女のクールさがよく出ていた気がします。(監督は「愛を乞うひと」と同じ平山秀幸監督作品です。この映画は私のお薦めで、感動間違いなしです。是非機会があれば見てください)。

 ベストセラーになった原作を映画化するのは、本を見た人も映画を見に来て、原作との比較をされます。全く同じだと、映画を見に行く意味が無いし、そうかといって、全く原作と変えたのでは期待を裏切ることになります。そんなわけで、「OUT」は大幅に変わっていました。視点(佐竹対雅子から主婦4人の絆へ)を大きく変えています。もっともあの大作を2時間で描くのですから、枝葉を大胆にそぎ落としていく必要があります。

 でも、ある意味ではその枝葉が面白いわけですね。今回のOUTでいうと、佐竹の存在です。彼が最初の殺人から得た精神的かつ人格的な影響。クラブやカジノをどん底からどのような気持ちで育ててきたのか。それがわけのわからない主婦によって、一夜にしてだめにされたときの挫折感。雅子に対する執拗な復讐とその理由。映画では、雅子対佐竹の息詰まるようなスリルはありませんでした。だから、リンチもなかったです。あの怖さを期待していったので、ちょっとがっかりでした。

 映画や小説を読む趣味は、生まれた環境や両親にそれほど影響はされず、後天的にも深めて行くことはできるけど、音楽会などのクラシカルなものは、親に子供の頃、連れて行かれるなどの家庭の影響が大きい気がします。そういう意味から、息子さんはうらやましいですね。趣味の幅が広いことは、人間的な考え方やつき合いを広くできるものです。ただ、本人がそれをどう伸ばして行くかの問題はあると思います。きっかけはできたのですから……。

 

 

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