セントラルステーション

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 この映画は、ドーラがもう一度人生をやり直ししようと決意させるまでを描いた作品ですね。駅で代書屋をやっている時のドーラは正しい人間ではなかった。代書屋として貧しい人たちのために手紙を書いているが、全てのものを投函していたわけではありませんでした。そんな、詐欺まがいの商売ですが、それを彼女は少しも後ろめたいとは思っていなかった。彼女は教師をやっていたと自分では言っているが(相当疑わしい)、きっとつらい目にいっぱいあって人を信用することができなくなっていたのでしょう。結婚もしていないから、男にだまされたのかも知れません。そんな、彼女がジョズエ少年を救うことになる。もっとも、救うといっても、少年を売り飛ばしたのは彼女であり、後でその罪の意識から救い出したのだが……。

 最初はドーラのことを嫌っていたジョズエだが、しだいに心が通じ、信頼関係ができていく。ドラマは、ジョズエの父親捜しの旅がメインであるが、これは、ドーラにとっての自分を見つける(自分を取り戻す)旅でもあった。

 彼女は、ジョズエと旅する中で、自分の父親のことを思い出したり(彼女は16歳の時に家出し、それを後悔している)また、途中でトラックの運転手に恋をし、この男ならと思って告白しようとする。結局、洗面所で化粧をし口紅を塗っている間に、恐れをなしたこの男は逃げてしまうが……。

 この映画では、口紅が大きな役割を演じていた気がする。それは、ドーラが女(自信や誇り)を取り戻した証拠である。その時、ジョズエが言った、口紅を塗ったドーラはとても綺麗だったは彼女にとって自信にもなり、最高にうれしい言葉だったと思う。

 ラスト、捜していた父親はいなかったが、息子達兄弟に出合い、ドーラは、ジョズエはそこで暮らす方が幸せと判断した。そこで、ドーラは朝早く起き、化粧をし口紅を塗って、市場でジョズエが買ってくれた服を着て家を出る。(この時の、ドーラは別人のように綺麗だった)

 ドーラのいないことにジョズエが気づき、バスを必死で追いかけるシーンはやはり、涙が出てきました。バスの中で、ドーラが始めて自分のために手紙を書きます。その中で、ジョズエは自分と一緒にいるよりも、兄弟と一緒にいた方が幸せだと書いています。本当にそうだろうか?私は、生まれ変わったドーラと一緒の方が、ジョズエは幸せな気がしました。かよさんはどう思われますか?

 

 

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