砂の器

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 映画「砂の器」は日本映画の名作です。原作は松本清張、監督は野村芳太郎で主演が加藤剛です。

 今は、飛ぶ鳥を落とす勢いの加藤剛、演じる新進作曲家は、暗い過去を持っていました。それは、父がハンセン病(らい病)であったのです。行き場のない彼は、病気の父と一緒に村々を転々と渡り歩いていました。しかし、その当時のらい病は感染する死病と恐れられ、彼らが来ると、村人は石を投げて追い返しました。そんなときある村で駐在に助けられます。彼はその駐在の養子に、父はらい病の病院に隔離されます。そして、父と再会せずに彼は成長し、作曲家として世に出ます。(養父の駐在とも離れていた)

 ぼろ着をまとい、冬の凍てつくような海辺を肩を寄り添うようにして歩く親子二人に、悲しい音楽がこれでもかこれでもかと追いかける。彼らの心情を察すると、何度見ても涙が出てくるシーンです。この暗い過去を消し、現在の地位を守るために彼は殺人を犯します。らい病が感染する死病だと信じられていた時代の、悲しくて辛い映画です。ビデオがでていますので、ことりも見ていないなら一度見てください。心を締め付けられるような感動を受けると思います。また、音楽が良いです。今でも、目を閉じるとあの海辺のシーンと音楽が聞こえてきます。

 私は、この映画を見たときはもちろん、この控訴断念のニュースを聞くまで、らい病は感染すると思っていました。今更ながら、自分の無知を恥じます。

 

 

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