ショコラ

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 最初から映画に引き込まれ、一切眠気が襲ってきませんでした。(良い映画だった証です)フランスの片田舎、そこは伝統としきたりに支配された、よそ者を寄せ付けない村でした。そこへ、北風と共に流れ着いた母子が、チョコレートの店を開きます。開店の日に村長が訪ね、教会に来ることを勧めますが、彼女は断ります。さらに、開店の日がキリスト教の断食の期間に当たっていたこともあり、彼女は異教徒として、仲間はずれにされます。

 でも、それにめげず、彼女は古式にのっとって不思議なチョコ(カカオとチリから作る)を作ります。彼女は一目でその人の味の好みを当て、その人に合ったチョコレートを渡します。そのチョコを食べた人は、その至福の味に一度でチョコの虜になります。こうして味方を少しづつ増やし、ついには村長までも味方にします。

 この村では、キリスト教徒として厳格に生活することを義務づけられ、それに違反することは許されませんでした。そのため、人々は自分の欲求を我慢する禁欲生活を余儀なくされていたのでした。例えば、夫の暴力から逃げる事をがまんする女、戦争で夫を亡くし50年も喪に服している未亡人に、愛を告げる事を我慢する老人、逃げた妻をあきらめて自分を好いてくれる未亡人に愛を告げる事を我慢する男等です。これらの人々をチョコレートの魅力によって心を解放し、幸せにしていく物語です。

 いくつもの幸せが花開いて行く姿は、見ている者までも幸せな気分にさせてくれます。彼女はその人のチョコの好みを知っているだけではなく、その人の心を知ることができたわけです。ですから、その人を幸せにする方法も知っていました。社会や宗教の偏見に負けず、自分の好きなように行動したとき、人は幸せになれる。それを証明してくれた映画でした。

 

 

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