山の郵便配達

映画の目次へ 

 

 昨日の夜「山の郵便配達」という中国映画をビデオで見ました。中国のアカデミーショーに当たる賞を取った評判の作品です。1980年代の中国の山の中の村が舞台。長年郵便配達員だった父が、足を悪くして自分の息子にその仕事を譲ることになる。何しろ、険しい山の中を重い郵便物を背負って、一日40キロの道を歩いて、3日間各村を回って郵便物を配る。その厳しい仕事、でも、誰かがやらなければならない大事な仕事をゆだねるに当たって、最初の配達だけ一緒に父がついて行きます。(次男坊という犬も一緒に)その3日間の旅を通して、父と子のふれあいを描いています。

 外界と閉ざされた村人にとって、郵便物は唯一の外とのパイプ。家族や友人からの手紙を楽しみにしている彼らにとって、郵便配達員はアイドルのように歓迎される。

 中国の自然が美しい、日本でもいつか見た風景。その自然の中をゆったりと時間が流れて行く。そこには、単調な繰り返しの中に平和がある。誰もが、不自由や不便を当たり前のものと受け取っている。彼らに、ストレスはない。心は健康である。

 長年郵便配達員だった父は、この厳しい仕事をお金のためでも、出世のためでもなく、「人のため」にやっている。それが自然と伝わってくる。映画は淡々と山の中を歩く、特別に変わったことがあるわけではない。それが、日常の仕事というものです。ハリウッドのドラマチックなストーリーに慣れた私にとっては、その淡々とした単調なストーリーが癒しになりました。お薦めです。

 

 

上に戻る