博士の愛した数式

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 1月28日(土)に<博士の愛した数式>を見てきました。とても良い映画だった、と言うのが素直な感想です。周りで涙を流している人もいましたが、私は涙こそ出ませんでしたが、心は潤いました。

 主人公の私とルートと博士の日常を、淡々と描きながらも心が温まるような感動を与えてくれました。癒し系の映画ですね(笑)。

 原作を見てから映画を見るか、その逆かは永遠のテーマです(笑)。まあ、その作品によるんでしょうね。今回は、原作をついこの間読んだばかりでしたが、映画も素晴らしい作品に仕上がっていたと思います。一番良かったのは、ルートが成長し数学の教師として中学校の教壇にたって、最初の授業に自分がルートと呼ばれるいきさつや博士との関係を回想するという形をとった事です。

 映画を見る前に、ルートの役に吉岡秀隆と聞いて彼をどう扱うのか興味津々でした。というのは、原作では成人になったルートは最後にちょっとですからね。彼は、ちょい役にはもったいない役者です(笑)。でも、映画をみて納得です。彼が一番最初に自己紹介を兼ねて、話していった数学の話(自然数、素数、友愛数、完全数、虚数など)はものすごくよくわかりました。そして、数学に興味を持ちました。彼のような先生に数学を教えてもらったら、もっともっと数学が好きになり、わかるようになったと思います。この映画の良かった事は、彼をナレーターにして、博士の話す数学をわかりやすく解説をしてくれた事です。

 それにしても、寺尾聡はうまいですね。小説を読んで、寺尾聡では格好良すぎるなどと思っていましたが、映画を見た瞬間、ピッタシカンカン(ちょっと古いかな?)でした。飄々とした演技は父親の宇野重吉譲りですね。

 それから、私役の深津絵里。彼女もうまい。実にうまい。清潔な印象を与えてくれる所が良いですね。

 そして、なんと言っても、博士の義姉役に浅岡ルリ子。この配役は小説を読んだ人は意外だったのでは?私は小説を読んだ時に一番関心があったのは、<博士と義姉との関係>です。小説ではちょっと触れて、読者に想像をさせる形をとっていましたが、映画でその全容が明らかになりました(笑)。だいたい私が想像していた通りだったので違和感はありません。オイラーの公式の謎解きもありました。

 いろいろ小説と変えてありました。それが映画というものでしょう。映画<博士の愛した数式>はこれで一個の作品で小説とは別物と考えた方が良いかもしれません。脚本家や監督の意志や思いが入っているからです。

 映画を見ている時に、突然<あ〜〜と>声を出してしまいました。それは、ルートの11歳の誕生日の日が、5月18日と言われたからです。これは私の誕生日と同じです。小説の中では、誕生日が何日とは書いてなかった気がします。数字の因縁を強く感じ、なおさらこの映画が好きになりました(笑)。

 どんなに不可能に思える数式でも答えは心の中にある。そして、<心の中の見えない世界が、見える世界を支えている。>この言葉がこの作品を物語っているような気がします。

 

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