旅情

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 今日はビデオで「旅情」(キャサリーンヘップバーン主演)を見ました。彼女は今年の6月になくなりました。あれ程有名な女優なのに、代表作をどれも見ていなかったので、いつか見てやろうと思っていたのですが、やっと実現できました。

 アメリカからイタリアのベニスに観光旅行に来たハイミスが、ベニスの美しい景色に酔う中で、イタリア人の紳士と恋に落ちるというものです。異国での旅先、短い逢瀬と永遠の別れ、そして素敵な出会いを求める心、そんなものが相まって、素敵なラブストーリーになっています。この紳士実は別居中とはいえ奥さんがいます。最初は隠していたのですが、<自分の気持ちに素直になって、今を楽しみましょう>とイタリア男らしく、積極的に口説きます。まあ、悪い男ではなく、ほんとに彼女を愛していたから、許して上げましょう(笑)。女性が一人で異国へ旅に出れば、そこに素敵な出会いを期待するのは当たり前。彼女は口とは裏腹に、そんな態度が一杯でていました。

 ヨーロッパの広場、オープンカフェ、素敵な音楽、おしゃれな紳士と絵に描いたような出会いがあります。それにしても、キャサリンヘップバーン素敵です。決して美人ではないけど、男を引きつける何かがある。生涯一度の燃えるような恋、でもその恋を終わらせたのは彼女でした。この恋は永遠に続くものではない、二人は分かれる運命にある、それを知っていたからでしょう。夢のような恋、でもそれは現実のものではない。<現実のものにしたらたちまち色あせる>それなら、夢のままで終わらせよう、そう彼女は思ったのでしょう。

 彼女は独身だから、 「マディソン群の橋」の逆バージョンですね。でも、彼女は彼をおいてアメリカに帰ってしまいます。二人の口から一緒になるとか、一緒に行こうとか、このまま残ってということが一切なかったから、旅先の素敵な思い出としておこうと、思っていたのかもしれません。確実な別れが待っている<恋>は気持ちをかき立てるものです。

 

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