バーバー吉野

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 ある田舎の町では、昔からの伝統で小学生の男子は、町の床屋バーバー吉野で同じ髪型(吉野刈り)にすることに決まっていました。昔からということで、誰も疑問に思っていなかったのですが、そこへ、東京から茶髪の格好良い少年が転校をしてきます。

 この少年は、髪型は基本的人権だと言い張り、町の伝統を破って吉野刈りを断固拒否します。

 「非行は髪型から」と、なんとか彼の髪を吉野刈りにさせようとする大人の思惑と髪型を自由にし、格好良くなりたいという子供達の思いとのせめぎ合い。

 吉野刈りとは、ウイーン少年合唱団がしているような髪型おかっぱ頭の少年版みたいなものです。白い服を着て、一列に並んだ少年達の<ハレルヤ>を歌う姿が異様で笑えました。

 髪型の自由というテーマで、古くて意味のない伝統を護る大人と、新しいものを求める子供たちとの戦いをみごとに描いていました。

 荻上監督の第一作ですが、この監督のセンスの良さを強く感じた作品です。

 12歳くらいの男子の思春期のもやもやみたいなものも、リアルに描いてあり、あの頃の自分を思いだしたりして、にんまりしていました(笑)。

 星は☆☆☆★(三つ半)です。

 <もたいまさこ>の主演でしたが、恋の五七五にも、校長先生として出ていました。かもめ食堂にも出るから、荻上直子作品三作、全てに彼女は出ています。彼女が荻上作品を解くキーになるのかもしれません。

 

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