この映画に対して、間違ったイメージをもっていました。そのイメージとは、第2次世界大戦、ナチスのユダヤ人狩りが行われる町でその摘発から逃れるために、ユダヤ人の少年と少女が屋根裏部屋に隠れている。ちょうど、『アンネの日記』のようなものでした。 映画音楽はあまりにも有名でしたが、映画を実際に見たのは今回が初めてです。レンタルビデオ屋にいくたびに、何度も見ようと試みましたけど、いざ借りようとすると、暗くて押しつぶされそうな気持ちになり、その感情に負けて見ることができませんでした(笑)。 この映画、反戦映画ですが、戦争を直接描いていません。冒頭の空爆で両親が殺されるシーンのみがそれでドイツ軍のパリ入城と共に、パリからの脱出する民衆の姿を描いていました。 このように、直接戦争シーンがなかったけど、孤児となった5歳の少女(ポーレット)を通して間接的に戦争を批判しています。 パリの陥落を横目に、のどかな農村暮らし、そこでは何ともくだらないことでいがみ合いけんかする、仲の悪い家族が隣同士で住んでいます。 所詮、国と国との戦争もこれと同じように、くだらないことが原因であるとの皮肉が込められている気がします。 『禁じられた遊び』とは?この映画のイメージから、どんな遊びだろうかと不思議でしかたありませんでした。でも、映画を見て納得です。 墓に飾る墓標としての十字架を盗み、<お墓ごっこ>をすることだったわけです。ここでも、子供にはお墓ごっこを禁じているのに、その間に大人は戦争によって無数の人を殺し、墓をつくっています。この矛盾をついた所にも、反戦の強いメッセージがある気がします。 5歳のポーレットは、少女とは思えない色気があります。11歳のミッシェルは彼女に会った時から、一目惚れし彼女のいいなりになります。きっと、ミッシェルにとってポーレットは、初恋の人となるでしょう。でも、ポーレットにとっては……?。 パリジェンヌに憧れる田舎の少年ミッシェル。そういえば、着ている服から雲泥の差です。そして、男はいくつになっても『好きな女のためにつくすもの』 ポーレットは、手作りの十字架では飽きたらず、綺麗な本物の十字架を欲しがります。そして、ついには教会の祭壇の十字架をねだります。 自分を好きな男を手玉にとる術をすでに知っているわけです(笑)。そのため、ミッシェルは墓から十字架を盗み、それを他人の仕業と嘘をつきます。 ラストシーンはあまりにもフランス的でした。あまりにもあっさりと、FINがでたのでびっくり。 でも、ラストシーンは涙なくしては見られません。深い余韻が残り、映画が終わってからも涙が止まらない。彼女はどうなるのか?良い絵は描けませんよね。見る側にげたを預ける、何とも切ない終わり方です。 フランス映画はハッピーエンドでは終わりません。それがハリウッド映画との違い、せめて希望だけでも与えてくれるといいのですが……。 |