8月のクリスマス

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 8月のクリスマス、韓国版をビデオで見ました。今、山崎まさよし主演で日本版の「8月のクリスマス」をやっています。聞いた所によるとこちらは韓国版のリメイク版だそうです。こちらはまだ見ていません。

 写真店を経営している若き青年(20代の後半)と写真の現像を頼みにきたことで知り合う、婦人警官。この二人がいつしか恋をします。これだと普通のラブストーリーですが、彼はもうじき死ぬことがわかっています。その事実を前にすると、同じ恋でも違ってきます。

 とにかく、重くなりがちな日常を、たんたんと描いていたことが、この映画の良さだと思います。<ライフイズビューティフル>という映画がありました。ナチスのユダヤ人迫害をあれ程明るい感じで描いた映画を私は知りませんでした。ある意味のショックを受けたのですが、それがあの映画に深みを与えてくれました。明るく描くことで、暗さ重さを際だたせるような……。それと、同じような感動を覚えました。ほんとうに良い映画でした。ラストは感動の涙に包まれます。

 自分の死期を知っているのに、彼はいつも笑っていました。以前の恋人が旦那で苦労している時も、しっかりと励ましています。そんな、余裕はないはずなのに……。

 死の準備をたんたんとして行きます。友達と10年ぶりにあって、死ぬほど酒を飲んだり父にビデオの使い方を説明したり、現像の仕方を紙に書いて行きます。自分の葬式用の写真をとります。その一つ一つが、たんたんと描かれているけど、印象深い映像として今も残っています。

 愛する彼女に、自分の死期を知らせない。普通のラブストーリーなら、一緒に大泣きという修羅場があるわけですがそれがなく、あっけなく死んでしまいます。ほんとうに、<そんなに簡単に死んでいいの?>と思わずつっこみを入れていました(笑)。

 死んだあと彼女が写真館に立ち寄り、ウインドウにある彼女の写真を見て、微笑むシーンで終わります。この終わり方も良いですね。余韻が残ります。

 <どんなに強い愛でもいつかは思い出に変わってしまう。自分は愛するままで終われることが幸せである>言葉の表現は少し違うけど、こんなような意味の事を彼が言っていました。

 あんな若さで死んで行く。その死を受け入れるまでに多くの葛藤があったことでしょう。その受け入れた後の彼は、心穏やかに、そして残りの人生を悔いのないように生きると決意しました。愛する彼女に自分の死期を知らせなかったのは、彼女を思ってのやさしさです。死という緊急事態に、それでも、自分より人を思って生きられる彼は素晴らしいですね。彼の笑顔が今でも目に浮かびます。

 

 

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