in her shoes

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in her shoes>を1120日(日)の夜に半田コロナで見てきました。観客は私を入れて5〜6人と寂しい入りでした。娯楽作品ではなく、わりと地味なストーリーだから、爆発的なヒットいうわけには行かないのでしょうね。でも、しみじみと人生を考えさせてくれた名作でした。

 人が家族の愛に気づく時は、劇的な出来事があるからではなく、淡々とした日常生活の繰り返しの中で知るものだと思います。 そんな淡々とした自然さで愛を描いたこの映画、だからこそ、共感し知らぬ間に涙が流れてきたのでしょう。

 一つの愛が実ることで、今まで解けなかった糸がほぐれ次々に愛が実っていく。姉妹の深い絆を描いているから、姉妹のいる女性は必見でしょう(笑)。

 性格と容姿が正反対の姉妹、マギー(キャメロンディアス)と姉のローズ。この二人が、試行錯誤を繰り返し、苦しみの中でそれぞれの靴(人生)を見つける物語です。

 この題名<in her shoes>の意味がインターネットで調べたら「彼女の身になって」とありました。なるほどと納得です。これでこの映画の意味が理解できます。

 欧米では靴を家の中でも履きます。だから、靴に対しては日本人とは違った思い入れがあるのかもしれません。<ひとの靴を履く=人の気持ちになる。>こういう格言は日本にはないですよね?ローズは一杯靴を買っていました。そういえばフィリピンのマルコス大統領のイメルダ婦人が大量の靴を持っていたことを思いだします。女性にとって、靴をたくさん買うことは特別なことなんでしょうか?

 マギーがローズの気持ちになること。それは自分が小さい頃から、ローズに愛され守られて来たことを知ることでした。

 この姉妹、性格や能力はまったく違うけど、靴のサイズだけが同じでした。姉は弁護士で社会的な地位は高いけど、容姿にはまったく自信がなく、男に縁がない。そんな自分を守るために、仕事に逃げ、残業ばかりの日々。でも、内心では恋もしたいし、自由に羽ばたきたいと思っている。けど、それができない。その欲求不満を素敵な靴をたくさん買うことで満たしていました。

 今のローズには、絶対にはけない靴、その靴を妹のマギーはいとも簡単にはきこなしてします。姉とはまったく反対で、学習障害(難読症)で数字の計算もできない。何度も仕事を代わっているのは、それらのコンプレックスがあるため。でも、容姿は最高で男にはもてまくりだけど、男にはだらしがない。

 この姉妹の確執を中心に映画は描かれていました。そこに、母方の祖母(シャーリーマクレーン)が登場して良い方向への展開をみせます。

 マギーはローズと喧嘩して、家を追い出され祖母の住むフロリダに行きます。祖母はそこで、高級老人ホームの管理をしています。最初は、何もしないなまけもののマギーでしたが、ニューヨーク行きの3000ドルを稼ぐために仕方なしに、施設で介護士の手伝いをすることになります。

 そこで、寝たきり(目が見えない)の大学教授と知り合い本を読んでほしいと頼まれます。最初は断っていたのですが、だんだんと断れなくなって仕方なしに読むことに。

 そこで、「私は読むのが遅いから」というマリーに「私は聞くのが遅いから」と教授が答えます。(これっておしゃれでウイットに富んだ会話ですね、感心しました。)

 教授の適切な指導で、だんだんと本を読むことができるようになりました。ここでも、<教育とは励ますことと、褒めること>の証明でしたね(笑)。

 難読症からの解放、そして「君は頭の良い人だ」この言葉に自信をマギーは持ちます。それから、自分のファッションのセンスの良さを活かす仕事をみつけます。in her shoesへの旅で、マギーはこの大学教授と出会う運命が用意されていました。これこそ、出会いの不思議ですね。

 もう一つウイットに富んだ会話で思いだすのは、ローズが祖母を訪ねてフロリダに来た時、マギーがローズを、引退した弁護士が集まっている場所へ案内しました。そこで、マギーがローズは弁護士だと言います。そうすると老人が「ここには何をしに来たの?」とマギーは「しばらく休もうと思って」と答えると彼は「私もだ……」

 

 

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