カラーパープル h18.11.10
1909年、南部ジョージアの小さな町。奴隷のような生活を強いられた薄幸の黒人女性が、
人間として目ざめていく姿を描く感動の物語。製作・監督はスティーヴン・スピルハーグ、
『カラーパープル』(The Color Purple)は、アリス・ウォーカーのピューリッツァー賞を受賞した1982年の小説の映画化です。
主人公のセリーがウーピー・ゴールドバーグとは最初気がつきませんでした。彼女のイメージは明るく活動的な所、丁度、<天使にラブソング>のように……。
始めは無口で無表情なセリーだったのでわからなかったけど、後半、家を出ると決意してからの変貌ぶりは、まさしく、彼女そのもの。その歯切れの良いタンカは見ていて気持ちが良く、胸がスーとしました(笑)。この作品が彼女のデビュー作兼認めれた作品とか、
それが十分うなづける演技でした。
セリーのように、虐げられて育ち、無口でおとなしい女性にとって、自分の意志を持ち、自分の考えを堂々と言えること、そして、親や夫の暴力に立ち向かい、従属から独立することはとても勇気のいる戦いです。セリーに対照的な女性が二人います。それがソフィアとジャグです。
まずは義理の長男(ハーボ)の嫁になるソフィアです。
彼女の強さは気持ちのいいものです。黒人であること、女であることを卑下せず、堂々と自己を主張する。ハーボはなさけない男だけど、彼女を見つけたということはたいしたものです(笑)
彼女は市長夫妻の無礼な行動に怒り、市長を殴ることで、8年の刑に……。出所した時は、足はびっこ、片目がおかしい、刑務所でよほどひどい扱いを受けていたことがわかる。出所の条件が市長の妻の面倒をみるメイドになること。誇り高い女性だけに、その屈辱にただ耐えなければならないという、彼女の心情は想像を絶するものがあります。
もう一人の女性ジャグは、酒場の歌手。美人で魅力的で、さらに精神的に自立をしている。セリーの夫(ミスター)の愛人としてセリーと同居するが、しだいにセリーと心が通じ合い、親友となっていく。彼女の存在がセリーの勇気に一番大きな力を発揮した。
セリーと妹ネッティとの関係。これほど深いきずなで結ばれた姉妹もめずらしい。可愛い妹は義父やミスターからねらわれる、それを必死で守るセリー。
セリーは、あの時代の黒人の女性であることから、人種差別と性差別の両方を受けます。人種差別はある程度予想できることだったけど、性差別にはびっくり、よほどこちらの方がたちが悪く根が深い。それは、親が子に、夫が妻に暴力をふるうという形ではっきりと現れているからです。
セリーには義父との間に二人の子供がいたが、生まれるとすぐに義父にとりあげられ、牧師夫妻に売られる。それが回り回って、ネッティがアフリカで世話をするようになる。セリーにとって、自分の子供が生きていて逢えることが1番うれしかったことです。義父の死によって家が手に入り、洋裁の店をだして自立します。
ミスターのセリーが去った後の惨めな生活。男とはあんなもの……。でも、移民局へ行って、妹の帰国にお金を出します。それをセリーには言わない、それは少しは改心をした証拠、でも、遅すぎたね(笑)。
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