めぐり合う時間たち

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めぐり合う時間たち(2) h18.10.12

難しい映画でした。

バージニアウルフ作の「ダロウェイ夫人」でつながる、3人の女性達の一日を描いています。

3つの時と場所。
 1923年、ロンドン郊外のリッチモンドで「ダロウェイ夫人」を執筆中のバージニアウルフ(ニコールキッドマン)。

 1951年、ロサンジェルスで『ダロウェイ夫人』を愛読する妊娠中の主婦ローラ・ブラウン(ジュリアン・ムーア)。

 2001年、ニューヨークで恋人から『ダロウェイ夫人』と呼ばれている編集者クラリッサ・ヴォーン(メリル・ストリーブ)。

 死がテーマ。
これは、生につながり、いかに今を生きていくか?につながります。3人の女性に共通するのは、自分のために生きているのではないということ。

 それは、愛する人のため。そして、自分の人生はつまらないと思っています。

 ニコール・キッドマンの大変身が見物です。
彼女が出演していると知らなければ、気がつかないかもしれません。

 精神を病んでその療養のために、ロンドンの郊外に夫と暮らして執筆活動をしている。
その退屈な日々は、死んだ方がましと思っている。彼女の作家活動を必死に助ける夫、それが負担になり、夫の人生を取り戻してもらいたいと自殺を計ります。それは、創作の苦しさ、現実と虚構との区別がつかない、苦しさからの解放でもありました。

小説の主人公が、なぜ、死ななければならないのか?という夫の問に、バージニアは、「死は生をきわだたせる」と言いました。人が死ぬことから、一瞬一瞬の生が大事であることを教えてくれます。
 

 ジュリアン・ムーアは<シッピングニュース>の時の彼女が印象深いです。

 夫と子供の期待を担って、良き妻、よく母になろうと頑張る。でも、それがストレスとなり、
その苦しさから逃れるために自殺をはかります。自殺は未遂に終りますが、その後夫と子供を捨てて、トロントへ行き、図書館の司書となります。その捨てられた子供が、2001年のエイズの彼であり、つながっていきます。

 自分の人生を取り戻すこと。<自分を生きていないことは、死んでいるのと同じ>と考え、それを実行します。平凡で、夫に愛されている何の不自由もない妻が、それで幸せなのか?を問うています。

 メリル・ストリープは、<恋に落ちて>、<ミュージックオブハート>、<マディソン郡の橋>、<めぐり合う時間たち>、この順番かな?だんだんと老いていく姿がよくわかります。

幸せの瞬間の話。この映画の中で、メリルストリープがこんなことを言っていました。ある時、無限の可能性が感じられて、何でもできると思えた時があった。きっと、これからはもっと幸せになれると思ったけど、そうではなかった。その時が、幸せの絶頂であり、幸せの瞬間であった。人生なんて、幸せなんてそんなものかもしれません。

独身で、人工授精で娘を生みます。詩人であるエイズの男を愛していますが、彼は母に捨てられたあの子供です。彼は、彼女をダロウェイ夫人とあだ名で呼んでいます。彼と結ばれた1年後、男と一緒に暮らし、そしてエイズにかかりますが、その後の面倒を彼女が見ています。
 

 

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