ミスティックリバー

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ミスティック・リバー h18.10.23

3人の少年(ジョー、デイブ、ショーン)が、いたずらで、まだ固まらないコンクリートの道に落書きをします。それを警官だと名乗る男からとがめられ、車でディブだけが連れ去られます。

 結局、デイブは4日間地下室に閉じこめられ、男たちからいたずらをされます。でも、なんとか男たちの目を盗んで逃げることができますが、そこで何があったかは一切語られず、デイブの心の闇となります。

 その3人が、ジョーの娘KTが殺されたことで、25年ぶりに再会をします。そして、ショーンはその事件の担当刑事でした。

 それにしても、豪華な顔ぶれです。ジョーにショーペン、彼はこの映画で主演男優賞をとりました。私は彼の映画では、<アイアムサム>、<インタプリター>、<デッドマンウォーキング>を見ました。

 また、デイブ役のティム・ロビンスも、この映画で助演男優賞をとりました。彼の映画では<ショーシャンクの空に>が大好きな映画です。

 そして、ショーンにケヴィン・ベーコン。彼の映画は<ワイルドシングス>を見ました。


 3人は成長しましたが、それぞれに深刻な問題を抱えていました。ショーンは、何の理由も言わずに、乳飲み子を抱えて家出をする妻。

 ジミーは町のボスで、前妻との娘KTを溺愛しながら、いつか娘が去った行くことを恐れてています。彼の暴力がらみの迫力はものすごいです。

 ディブは少年期のトラウマから、働けず、行動も鈍いので、妻から信頼をされていません。


 題名の、ミスティックリバーとは?死体をこの川に沈めます。そんなことを象徴して、いろいろな悲しみとか苦しみを、黙っているが、この川は知っているというような意味なのでしょう。

 ミステリーとしても、非常に面白い映画です。犯人をデイブだと思わせておいて、じつは意外な人物が犯人であるという、どんでん返しの手法。

 でも、真犯人の解明が少し遅すぎた。この遅いということがこの映画に深みを与え、単なる娯楽映画を超えた作品にしています。

 少年へのセックス暴力(セクハラ)がテーマ。少年が売春をして、それを大人が買うというアメリカ社会のひずみを描いています。

 少年期のトラウマによって、生きる意欲さえ失い、無気力なディブ、でも、ただ一つだけ許すことができなかったのは、自分と同じ体験をするかも知らない少年を見た時でした。
そして、少年に危害を加えようとするこの男を、殺してしまうことが、この映画を複雑にし、ミステリアスにしました。

 また、デイブの妻(マーシャ・ゲイ・ハーデン)が彼を信頼できず、ジミーを頼ることが、不幸な出来事の原因を作りました。彼女の演技は光っていましたね、あの夫を信じられなくなっていく過程を見事に演じていました。

 ジミーがKTの殺された時にショーンに言った言葉。<あの時自分が車で連れ去られていたら、こんな運命にはならなかった。>は意味の深い言葉です。

 ジョーの生き方とは、法を犯してまでも家族を守るということです。そのことを後押しするように、ラストで彼の妻が言った言葉が印象的でした。

 デイブを殺したことは家族のためにしたこと。それを隠してこれかれも家族を守っていってほしい。

 そこに、人間の業の深さ。どんなに辛くても、家族を守っていかなければならない親の責任を感じました。
 

 

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