ロレンツォのオイル

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ロレンツォのオイル 命の詩(1992) h18.11.10

 副腎白質ジストロフィー(ALD)という難病にかかった息子を救うために、全力を尽くす両親の姿を描いた実話。主演は、ニック・ノルティとスーザン・サランドン

 1983年、小学校1年生のロレンツォは、突然、副腎ジストロフィー(ALD)という不治の難病に冒される。

 夫妻は食事療法や免疫抑制剤など、考えられる限りの治療を試みるが効果は上がらず落胆する。ALD患者家族の会にも出席したが、医師にすべてをゆだね、半ばあきらめの境地にある親たちの姿に失望し、自分たちで治療法を見つけようと決意する。

 父は、図書館に通いつめ、オリーブ油から検出されるオレイン酸や菜種油の一成分である、エルカ酸がロレンツォの病気に効果があることを発見する。

 感動的な作品でした。子供のためにあそこまでできるのか?自分には絶対無理、絶対できないと思いながら見ていました。私なら「子供は苦しむだけの延命は望んでいない」と勝手に判断し、苦しみから逃げてしまうでしょう。だんだんと状況が悪くなり、決して治る見込みのない病気だけに、そうなるのが普通だと思います。

 それをさせなかったのは、母親の強い意志でした。特に病気が母親(自分)からの遺伝であると聞いた時からは……。

 母の人任せにしない介護は、自分を犠牲にして死を覚悟したものでした。そして、その熱意につられて夫も妹も……。

 保守的で保身ばかりをはかる医者には任せられないと、自ら図書館に行って、病気のことを徹底的に調べます。医学や科学に全く知識がないことを考えるとその努力と執念はすごいと言わなければなりません。

 そこから少しずつ光明が見え、それが大きな成果を結びます。望みをもって、努力することの大切さを知りました。

 こんな絶望的な状況になると、人は宗教的なものにすがりつくのに、あくまでも科学的に究明していったのは、両親の進歩的な考え方のため。妻の毅然とした態度は他をよせつけず、狂気の一歩手前であり、冷静にみれば間違っているかもしれないけど、自分の子供を必死で守るためだったのだから、許されるのだろう。

 映画から、夫婦の強い絆を感じた。大きな目的(子供の命)のために、困難を乗り越えるたびに絆は増して行きます。

 病人を家庭で介護する時に、夫婦や家族が協力することが基本です。それをまざまざと見せてくれました。そして、少年が少しづつ良くなって行くことが最大の救いでした。ただ、科学の進歩が彼の死に追いつくのか?それが心配です。
 

 

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