ブラッド・ダイヤモンド h19.4.29 半田コロナ
重い映画だと聞いていたので、見る前に少し昼寝をし、覚悟して見てきました(笑)。
でも、アクションはハラハラドキドキの連続で、息もつかせぬ面白さがありました。
さらに、それだけでなく、恋あり、親子愛ありの内容で、深い感動を与えてくれました。
ということで、私的には☆3つ半です。
というものの、やはりずっしりと重い映画でした。朦朧とする頭の中は、映画のシーンが焼きついて離れないので、家に帰ってから、しばらく寝込んでしまいました(笑)。
こういう映画を見るたびにいつも思うことですが、アフリカの現状を見て慄然とし、その裏返しとして自分がいかに恵まれているのか?そんな、今の自分の幸せを思わずはいられません。
題名の「ブラッド・ダイヤモンド」とは、「血塗られたダイヤモンド」のこと。この題名の意味を理解するには、アフリカのダイヤをめぐる問題を知る必要があります。
アフリカの西部、大西洋岸に位置するシエラレオネ共和国は、ダイヤモンドの産出国として、また世界一平均寿命が短い国としても有名です。(男女共に30代)それは内戦に伴う貧困が主な原因ですが、その内戦に国内で産出されるダイヤのお金が使われているわけです。
そのように紛争地域で産出されるダイヤのことを「紛争ダイヤ」と呼んでいます。
国連は、内戦が悪の元凶と「紛争ダイヤ」の輸出を禁止していますが、巧妙な、半ば公然として、隣国のギニアなどを通じて密輸され、そのお金で政府軍及び反政府軍(RUF)が武器を購入して内戦がさらに激しくなっているわけです。国連は、その武器を購入させないこと、つまり「紛争ダイヤ」をなくすことが、内戦を治める方法だと考えているみたいです。
密輸をするための仲介人がアーチャー(レオナルド・デカプリオ)です。アーチャーは、RUFに捕まり、闇ダイヤの採掘場で働いているソロモン(ジャイモン・フンスー)が
採掘場で巨大なピンクのダイヤを見つけ、隠したことを知ります。
ソロモンにその場所まで案内させるために、離ればなれになった家族に会わせることを条件にします。この条件に一役かったのがマディー(ジェニファー・コネリー)です。彼女はイギリスのジャーナリストで、ダイヤの不正取引に自国の会社が関与している証拠をほしがっていました。そのためにはアーチャーの協力が必要。この3人3様の思惑と利害が一致し、巨大なピンクのダイヤを探す旅が始まります。
内戦のすざましさは目を覆いたくなります。映画では反政府軍(RUF)のみが、残虐、非情の限りを尽くしているように強調していましたが、政府がだらしなく、国民の支持を失うから、反政府組織ができるわけです。もちろん映画では、時間の問題もあるから難しいとは思いますが、そんな政府側の問題も描くと、よりこの国の実情がわかったのではないかと思います。
RUFは、政治に関わりのない村を襲撃し、無差別に殺します。そして捕虜となった男の内、使える男はダイヤの採掘場へ、少年は少年兵として、それ以外の男の大人は手を切ります。それは、投票が出来ないようにと言っていた気がします。そして、ほとんどの人が難民となります。
ソロモンの自慢の息子は捕まって、少年兵として教育されます。そのすざましい訓練は、恐怖そのものです。最初はあどけない顔の少年が、次第に兵士に仕立てられ、いつしか、殺すことを何とも思わなくなり、父親さえ敵と思うようになります。本当に、思想教育は怖いですね。
デカプリオはうまいですね。この演技でアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされたとか、十分に納得できます。
アーチャーは複雑な役どころです。ダイヤの密売人だから、悪人であり、人をだますこと、人を殺すことは平気だが、そうだからといって根からの悪ではない。それは、ソロモンの息子を思う気持ちを理解し、それに応えたりマディーの使命感や彼女の愛を受け入れていることからもわかります。その難しい役どころを実にうまく演じていました。
「人の命は地球より重い」それなのに、アフリカでは内戦で簡単に人が死んで行く。
映画ではソロモンの息子を助けるために何人の命がうしなわれたことか…………。
「ダイヤを買う」という豊かな先進国の欲望によってアフリカではどんな悲惨なことが起こっているのか?その事実を知らないということは、内戦、貧困に間接的に手を貸していることになる。
文明という悪魔が、アフリカを浸食し、残念ながら、紛争ダイヤの取引は禁止されたけど、それでも、アフリカは変わらない。
弱いものがさらに弱いものをいじめる、弱肉強食の世界。それがアフリカの現状。
そんな構図。上に立つ者は私利私欲に走り、国民を省みない。
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