豚と軍艦 h19.4.28
今村昌平作品である「豚と軍艦」は戦後の横須賀を舞台にした、やくざのちんぴらとその恋人の生き様を描いたものです。あの頃の横須賀は米軍の基地の街として栄えていましたが、虚飾の街ですね。
米軍人を相手に春を売る女とそれにつながるやくざの世界。人間がまともに生きられる街ではなかったのですが、何ともそこに生きる人間のたくましさというか図太さを見せつけられました。
ストーリーは米軍払い下げの残飯を使って、豚の飼育をして一儲けしようとたくらんだ、横須賀を縄張りにしたやくざの話です。結局は内輪もめして、そのもうけ話はだめになってしまうのですが、それを含めて、良いように利用されていたちんぴらの悲哀を描いています。
彼には大好きな恋人がいるのですが、彼女はやくざをやめて、まともに働いてと強く訴えるのですがその願いを聞く耳を持ちません。
バブリーなやくざの世界に自分の夢を重ね、楽してもうけたいという、あの頃の日本体質と同じですね。
ちんぴらの恋人である、彼女もこの町で翻弄をされるのですが、最後は力強く生きていくことを決意して終わっています。
題名の<豚>ですが、ラストで大量の豚が逃げ出して、その豚に押しつぶされる形で、やくざが窒息死をします。この豚がアメリカを象徴し、アメリカの浸食によっていつか日本が殺されるとの、象徴として描いたそうです。
それにしてもなつかしい俳優のオンパレードでした。長門裕之、丹波哲朗、大阪志郎、小沢昭一等々の若い時が見られるのは楽しいことです。
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