アバウト・シュミット

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アバウト・シュミット(2002) h19.3.17

 DVDで見ました。この映画を見ようと思ったのは、『ディパーテッド』での、ジャックニコルソンの怪演のためです。

 自分の老後を見るような感じで、なかなか考えさせられる映画でした。それは、今から自分の老後を見据え、よりよい老後を過ごすには、今から何をしていかなければならないか?そのヒントとなる映画でした。

 心の奥底で眠っている<怒り>があると言われたシュミット氏。彼の怒りとは、自分の存在があまりにも軽いと思われていること。例えば、自分は保険会社の重役として、責任ある難しい仕事を何年もやってきて会社にもなくてはならない存在であると思ってきた。でも、彼の後任はそれを難なく引継ぎ、彼には何の相談もしてくれない。
自分の存在は一体何だったんだ?

 娘は利口な自慢の娘であったが、今は遠くで暮らしバカな車のセールスマンと結婚をしようとしている。結婚相手だけでなく、親戚もろくなやつはいない、どうしても結婚をやめさせようとするが、娘には全く相手にしてもらえない。

 題名の『アバウト シュミット』とは、<シュミット氏について>かな?

 シュミット氏は66歳で保険会社の重役を定年でやめます。娘は成人して遠くで暮らしていて、年老いた妻との二人暮らしでしたが、妻は定年後あっけなく死んでしまいます。一人になったシュミット氏は、何もすることがなく、自堕落な生活を始めます。


 でも、それではいけないと、一念発起した彼は娘の結婚をやめさせようと、キャンピングカーにのって娘の住む街へ行きます。でも、娘には全く相手にされません。

 ジャック・ニコルソンのうまさがきわだった映画でした。頑固一徹、どんな妥協もしないと言いながら、バカな男との結婚に反対した娘の結婚式では、心と裏腹に感謝の挨拶をしてしまうほどの人の良さです(笑)。

 最終的には、テレビで知ったアフリカの貧しい少年の養父になることが彼の生き甲斐となります。

 妻に先立たれ、娘にも相手にされない彼に残された最後のものは、その少年とのつながりでした。ラストシーンで少年は、文字が書けなかったので、絵を描いて送ってくれました。その絵は、幼稚ながら子供と大人が手をつないでいる絵でした。その絵を見ながら、シュミット氏の目から大粒の涙があふていきます。

 彼の求めていたものとは、<自分が重要な人間ある>ということそして、<人とつながっていたい>ということです。でも、それが両方とも叶えられないとわかった時
会ったこともない、少年とのつながりは、彼の将来を照らす一条の光でした。

 我々は老後に備えて、彼のようにならないための準備が必要です。自分の与えられた役割が社会で担えるように、そしてなによりも、つながりを得られる友を見つけ
そのつながりを深めていく必要があります。それを定年後にやるのではなくて、今からやっていくべきです。

 この映画は、2003年ゴールデン・グローブ賞

最優秀主演男優賞(ドラマ部門)と最優秀脚本賞をとりました。
 

 

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