さくらん

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さくらん h19.4.7

 名古屋のパルコにある映画館で<さくらん>を見てきました。

 私は随分前に、偶然見ていた<たけしの誰でもピカソ>で知りました。その時にこの映画の監督、蜷川実花が出演してこの映画を紹介していました。

 彼女は、あの有名な舞台演出家の蜷川幸雄の娘で、現在は写真家として活躍しています。彼女の撮る写真は、独特の色彩感に彩られていて、実際のもの以上に、鮮やかで、華やかな世界を演出しています。そんなわけで、その彼女が監督として作った作品が、どのような映像美なのか? 興味津々で見てきました。

 パルコの映画館は7〜8年前に<リトルダンサー>を見た映画館で傾斜のついた座り心地の良い座席で、映画館としてはものすごく良いのですが、交通の便がちょっと悪いですね。 で、土曜日の夕方でしたが、200近い座席にお客は30人程度とちょっと寂しい入りでした。

 物語は江戸時代、吉原に東北から売られてきた少女がいろいろなことを経験する中で、一人前の花魁として成長していく過程を描いています。

 なにしろ舞台が吉原で、艶っぽい男と女の世界ばかりですから、セックスシーンもかなりあってふっきにはお薦めはできませんが……(^_^;)、私的には楽しく面白い映画でしたので、☆は3つです。特に、映像美を見たくていったので、映像に関してだけなら、☆は4つでも良いと思います。

 花の吉原といわれるように、絢爛豪華な夢の世界ですが、それをさらに、色彩豊かに、華やかな夢の世界に仕上げていました。画像が鮮明でくっきりしていたのは、写真家としての彼女の力量なんでしょう。

 映画の至る所に<金魚>がでてきます。水槽に入れれて飼われている金魚はもちろんですが、吉原の大門の上に特製の金魚の水槽がおかれているという念の入れ方。吉原の女郎は華やかな金魚と同じで、吉原(水槽)の中でしか生きられないということを暗示(この映画のテーマ)しているようです。

 映画そのものは、ハッピーエンドで終わって面白かったのですが、後で、いろいろなことを考えさせられました。あの華やかな吉原の裏に、女郎として売られてくる少女達の、貧しい東北の農村の現状がある。

 誤解をされると困りますが、ある意味では、ご飯がしっかり食べることができることだけを考えると、幸せだったのかも知れません。そして、花の命は短い、年をとった女郎はどうなるのでしょうか?

 そして、吉原に代表される遊び場は全て男のためにある。女性はそれに奉仕をするだけ。あの頃の、女性はほとんどの人が遊ぶことができなかった。その男女差別というか、ひどさを痛感させられました。
 

 

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