メメント

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メメント(2000) h18.11.23

 メメントを11月23日にDVDで見ました。変わった映画、今までの私の常識では考えれないような映画の作りになっていて、びっくり、でも、とても面白い映画でした。主演は、LAコンフィデンシャルのガイ・ピアーズです。

 メメントとは記憶を表す言葉です。主人公のレナード(ガイ・ピアーズ )は、前向性健忘という記憶障害にかかっています。

 前向性健忘とは、発症以前の記憶はあるものの、それ以降は10分前の出来事さえ記憶できない症状です。<博士の愛した数式>の博士は80分の記憶だから、主人公のレナードは、もっとひどいわけです(笑)。そういえば、博士も体中にメモをはっていました。

 その記憶障害にかかったのは、最愛の妻が何者かによって、レイプされ殺された時のショックからでした。そのため、妻殺しの犯人を探し、復讐をすることが、彼の唯一の生きる目的でした。

 彼は記憶障害になる前は、保険の調査員をやっていて、彼と同じ症状を持つ、初老の男の件を担当していました。この男と妻との関係が重要で、そのことを彼の復讐劇に絡め、
複層的に描いていたのが良かったと思います。

 10分間しか記憶がないので、大事なことはメモ、特に妻殺しの犯人に関するものは自分の体に入れ墨をいれて書き込んでいるので、体中が入れ墨のメモだらけです(笑)。

 記憶障害ということで、常に自分は利用をされているんではという疑心暗鬼が起こり、誰も信じることができません。信じられるのは、その時写したポラロイド写真とそこに書いた自分のメモだけです。ここらあたりの、彼の複雑な心理を、映像はものの見事に表現していました。

 この彼の頭の中で起こっていることを、映像で表すために、彼の記憶のサイクルと同じように、10分ごとの出来事が、前へ前へとさかのぼっていきます。一番最初の場面で、彼が誰かを殺し、それは誰で、何のかかわりがあるのか?それを解明するために、10分ごとにさかのぼる。

 見る側になぜ?を考えさせ、その答えを次の場面で出します。テスト、採点、テスト……の繰り返しです。その解答の中には、予想をしていない点があり、観客を楽しませてくれます。
それは、推理小説の犯人を、主人公と共に見つけていくような楽しみです。そして、後半になるにつれて、最初の予想とは全く違う、意外なものが見えてきて、最後は大どんでん返しで終わます。この結末を知ってから、再度見ると、また違った面が見えるかもしれませんね。

 この映画を見ようと思ったのは、この映画の監督クリストファー・ノーランが、「インソムニア」(アルパチーノ主演 )を作った監督であったから。このインソムニアもなかなか面白かったけど、この映画はそれを上回るもので、監督の才能を感じます。
 

 

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