二百三高地

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二百三高地 DVD h19.10.29

二百三高地をDVDで見ました。
この映画は1980年に東映で作成されたものです。

私は今、司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読んでいますが、
それが日露戦争を中心に描いているので、
小説の状況を映像から確認する意味で
借りてきて見ました。

この小説で一番びっくりしたのは、
乃木将軍の評価です。
有能で人間的な英雄であるとばかり思っていましたが、
司馬遼太郎によれば、彼の司令官としての凡人ぶりが
旅順(203高地)で、大量の無用な血を流したとのことです。

一番いけないのは、参謀長の伊知地の無能ぶりと頑固さですが、
それを正すことができなかった乃木の罪も大きいとの指摘でした。
最後まで堅固な要塞に守られた旅順を
あくまでも中央突破を主張する伊知地参謀長を支持し、
無用な血を流し続ける乃木の第三軍。
この作戦を変更させるために、
満州軍の総司令部児玉総参謀長(丹波哲郎)が、
一時的に乃木に代わって指揮をとり
攻撃目標を二百三高地に変更し、
そこを集中攻撃することで落すことができます。
この映画の随所に<坂の上の雲>と非常によく似た場面が出てきます。
脚本家がこの本に影響されていることが伺えます。

日露戦争の命運を決するのは、
旅順を占領し
旅順港に隠れている、ロシアの太平洋艦隊を
陸からの砲撃で撃沈することである。
そのたまには、この難攻不落の旅順要塞を
早期に落とすことが必要であります。
この重大な任務が司令官乃木希典の指揮する第3軍にくだります。

幾万の犠牲者の上に成り立った旅順攻略戦を
乃木将軍(仲代達也)の目からと、下士官や一兵卒の目から描いている。

小学校の教員である小賀中尉(あおい輝彦)は、小隊長として
部下と共に旅順の要塞に決死の突入をする。
彼はトルストイを愛し、ロシアを愛していたが、
しだいにロシア人は自分の部下を殺した敵だと
憎むようになり、そのことで戦争の残酷さを描いていました。

後少しの所で戦死した彼、国に残した妻(夏目雅子)が不憫である。
戦争に死はつき物、でもそこにはそれぞれの人生があり、
ドラマがあり葛藤がある。

乃木将軍の「木石に徹する」という言葉が印象的であった。
二人の息子をこの戦争でなくした彼、
日本国内では、乃木の無能ぶりを怒って家に投石があるが、
それをじっと耐える妻も偉い。

それにしても、ものすごい俳優陣が勢揃いしていました。
仲代達矢、あおい輝彦、夏目雅子
丹波哲郎、三船敏郎、森繁久弥
 

 

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